男前なんかじゃない!!2
044.罰則。
さて、次はスイちゃんの親衛隊だけど…。これはぼくが口を出していいことなのだろうか?スイちゃんに任せたほうが…。
「結城、今回の親衛隊の暴走は、私の責任でもあります。しかし、私が罰するより結城、あなたに今回の親衛隊の処分を任せたいと思います」
スイちゃんは最終告知のように親衛隊を見回しながら言うが、親衛隊も覚悟が決まっているのか、ぼくに頷くことで了承する。
スイちゃんの親衛隊は、停学もしくは退学覚悟を決めているのだろう。涙目になっている生徒もいる。
金持ち学園として知られる四ツ谷学園。その生徒会会長なら退学処分などすぐに出せるには出せるが、それでは生徒のためにならないとぼくは考えている。
カイリくんなら、ぼくのこの考えに甘いと言うかも知れないけど、ぼくはぼく…。
大丈夫、ぼくは1人で会長職をしている訳ではない。仲間がいるし助けてくれる人がちゃんといる。
自分の言葉、行動を信じている。もし、間違ったことをしたら、きっとみんなが教えてくれる。
「今回の事態で一番苦労したのは、用務員と美化委員です。…で、今回の罰は、1週間下足箱の掃除、各教室の机磨き…あとは、廊下の清掃とか、玄関の掃除も入れてもいいな」
「「「ふへぇ??」」」
ぼくの罰則に唖然として変な返事をしているスイちゃんの親衛隊を無視して、そのまま言葉を続けます。
「罰則を与える生徒は、まだまだいそうですけど。トモ」
「は、はい!」
「トモのほうで確認できている生徒達にもそのように伝えて下さい。風紀委員にもこの罰則を適用することを伝えておきます。そして、できればですが、迷惑をかけてしまった用務員と美化委員におれと同じように謝罪をして欲しい」
「結城様………。は、はい、ボク達葉山親衛隊以外の生徒達にも…ゆ、結城様の温情の言葉絶対伝えて…よ、用務員さんと美化委員達にも絶対謝罪します…」
ポロポロ泣きながら、そう話すトモくんは、掃除は得意じゃないけど頑張るとか、軍手とゴミ袋買いだめしますとか、一部自分でも何を言っているのかわからない状況だけど、一生懸命反省していることをぼくに示してくれた。
もちろん、他のスイちゃんの親衛隊も同じように…。
スイちゃんはその様子を微笑みながら、「みんな頑張って信頼回復に努めて下さい」というと、親衛隊のみんなは、今度こそ本泣きになっちゃって、生徒会室は泣き声で包まれてしまう。
でも、こんな涙なら苦しくない。
哀しい涙はもう自分も流したくないし、誰にも流させたくないから…。
カイリくんや卓磨先輩、うっちゃんとさっくんは、ぼくを見て仕方がないなっていう表情をして、ぼくのこの罰則は上出来だって、褒めてくれた。
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