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男前なんかじゃない!!2
039.誘い受け。

 ステージ上でスイちゃんがぼくにデゥィープなキスを終え、唇が離れていく。

 唇からはキスの名残のようにツッーと、どちらかの唾液かわからない銀の糸が見えます。

 実際、どのくらいスイちゃんがぼくにキスしていたのかわからないけど、その光景を見つめていたであろう生徒達は、きっとガン見状態であり………しかも、最初は大絶叫だったはずなのに今はやけに静まり返っているような…。

 スイちゃんは、ぼくとのキスを生徒達に見せつけるようにしていたので、ぼくは今更ながら生徒達の視線が別の意味で怖くなっています。



 意を決して生徒達のほうを向き、見てみる………。

 あれ?みんな唖然呆然はわかるけど、顔を真っ赤にしている生徒がほとんどで、一部前かがみになっている生徒もいる。どうしたんだろう、具合でも悪いのかな?

 事前にスイちゃんに言われているのと、ぼくの持前の根性で、『クールキャラ』を持続させ平然した視線で生徒達を眺めていると、ここでスイちゃんの声が。



「現在、私が結城に強姦され関係を強要されていたとか、私と結城が別れた…とか、更には私と仲谷君が付き合っているなどという変な噂が流れていますが、それは真実ではありません」

 いつの間にかステージ上のマイクをオンにし、演説をはじめるスイちゃん。

 スイちゃんの言葉に皆呆然としたまま、頷いているが………きっと、さっきの行動が目に焼き付いていて無意識に頷いているんだろうなー。

「更に1つ事実を述べるなら、結城が私に迫るなどありえないことであり………私が結城にいつも迫っています」

 ギョギョッ!!

 講堂内にいる生徒が目を見開くが、ぼくも気持ちは同じです!!←根性で『クールキャラ』持続中の宗次郎。

 にゃぎぃぃぃ〜〜〜!(訳*なに)いつからそんな設定になっているの!?

 このスイちゃんの驚きの発言に、どこからともなく1人の生徒の声が上がる。

「誘い受け、キターーー!!」

 …妙な絶叫が響く中、皆呆然を通り越し、スイちゃんをガン見中!



 しかし、スイちゃんはその絶叫に対し平然としていて。

「そのくらいしないと結城を手に入れることなどできませんから…。なので学園内で出回っている噂は全て嘘です。私が結城と別れる事実もありませんし、仲谷君と付き合っていることもありません。…が、私が結城を押し倒した噂があるとしたら、それは真実ですけどね」

「ヒューー!やるね副会長!!」

 最後に茶目っ気を出して言う、スイちゃんの言葉に生徒達からヤジが上がる。

 スイちゃんもそのヤジに答えるようにぼくの腕を取り、背伸びしながら頬にキスをする。

 で、またしても大絶叫で………。

 そのあとは………うん、ここで記すことはないよね…。



 ぼくは、ステージを降りる際、手足がブリキのおもちゃのようになっていた気がするけど、スイちゃんが愛想よくみんなに手を振っていたせいで気付かれることはなかった。

 若干ぼくの目が、死んだ魚のようになっている気がする………けど、生徒会室に戻るまで辛抱しよう。

 カイリくんと卓磨先輩とうっちゃんとさっくんが何か同情めいた視線を向けているけど、この数分間の出来事でぼくは体力の全てを使い切ってしまっている訳で…力ない笑みを浮かべ『大丈夫』と頷くのがやっとだった。



 あれ?そう言えば、あまりの展開で気付かなったけど、転校生くんは、どうしてあのスイちゃんの発言でも静かにしていたんだろう?

 絶対騒ぎそうだったのに…やっはりあのディープキスが原因かな?



 この時のぼくは、裏で大変苦労していた存在をすっかり忘れていた。

 この緊急全校集会を成功させた功労者達は、いまだ傷だらけになりながらも頑張っている最中だったりする。←頑張れ、風紀委員!!


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あきゅろす。
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