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男前なんかじゃない!!2
036.クールキャラ。

 目が覚めたら、愛しい人が目の前にいました。

「スイちゃん…」

 目を擦りながら起き上がると、ニッコリいつものように微笑んでいるスイちゃんが「おはよう」と、言ってくれる。

 仮眠室の壁時計は、もうそろそろ昼休みが終わる時間を知らせていて、びっくりするが、寝る前の噂を思い出し凹む。

 いつまでも凹んでいる訳にはいかないけど、何となく俯き加減にベットに座っていると、目の前にはプリン。

「本当は昼食をとらなければならないのですが、今は時間がないのでこれを食べて、午後から始まる緊急全校集会に出て下さい」

「集会?」

 スイちゃんが、ぼくの手に好物のなめらかプリンとスプーンを握らせ食べるように促すけど、『集会』の言葉に首を傾げてしまう。

 全校集会は月2回、第二、第四月曜日の朝。

 それでも、生徒会が緊急全校集会を開くことは許されているけど、それは緊急とつくくらい重要なお知らせがあった場合のみ。

 何か重要な書類でもあったかな?ぼくがまだチェックしていない書類のお知らせかな?

 はっ!!だったら、急いで書類を見ないと!!



 高速でプリンを食べ始めたぼくにスイちゃんは、ゆっくり食べるように言うけど、ぼくまだその書類に目を通してないんだよーーー!!

「ハグッハグッ、モグモグ。ス、スイちゃん、し、集会にひ、必要な書類どこにあるの?モグモグ。ぼくまだその書類に目を通してないよ〜」

 行儀が悪いけど、食べながらスイちゃんに声を掛ける。が、スイちゃんは一瞬キョトンとして、次には笑い出した。

「結城、違いますよ。別に集会に必要な書類はありません」

「???」

 今度こそ訳がわからなくなり、プリンを頬張りながら首を傾げるけど、スイちゃんはぼくの頭を撫でながら微笑んでいるだけ…。



 しかも、生徒会室にいるみんなに緊急集会の聞いても、スイちゃんが、どうしても秘密にしているらしくて、内容はわからなかった。

 唯一わかったことは、アノ噂を消す方法が緊急集会にあるらしくて、生徒全員問答無用で講堂に集めて、スイちゃんが発表するんだって。

 でも、スイちゃんは、どうやって噂を消すつもりかな?

 転校生くんは、絶対集会を邪魔すると思うし………気が重い。

 思わず、深くため息をつくけど、なぜかスイちゃんはニコニコしていて…しかも、ぼくに念を押して指示したことがあった。



「結城、絶対何があっても『クールキャラ』を貫いて下さい。お願いしますね」

 スイちゃんが怖いくらい真剣な顔でお願いしてくるけど、もう、この学園に来て1年『クールキャラ』を被っているぼくに念を押すっておかしいよね。



 ぼくはこの時、スイちゃんに「ぼくの『クールキャラ』がそうそう外れるはずないじゃん!」って、笑って答えたけど、それは大きな間違いで………。

 集会で、どんでもないことが起るのは、あともう少し…。


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あきゅろす。
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