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男前なんかじゃない!!2
034.噂の消去法(Side.翠)

 仮眠室で結城が眠る間、じっと背中を撫でていた。

 泣き疲れた結城からスースーと、いう寝息が聞こえ、ホッとしつつ過眠室を出ると、扉の前には生徒会役員である一乗寺、二条先輩、宇都宮先輩達が心配げに私を見つめる。

「結城は、今眠りました…」

 『泣き疲れて…』最後に付け加えそうになった言葉。しかし、それを発するのは不要なようで、今の言葉だけで皆さんの顔が暗くなる。

 さすがに、二条先輩ですら何とも微妙な顔をし、悪の根源ともいえる仲谷君をどうのようにしてやろうか…など、無気味に笑っている。



 仲谷君のこともだが、学園内生徒を大量に処分してやりたい………何て物騒なことを私自身が考えている。

 そして、この甚だ不本意な噂の消去方法は…。



 この時のことをあとから冷静に考えてみると、私自身かなりキレていたのだと思う。

 私が考えた消去法は、誰も考えつかない突拍子もない方法だったのだから…。



 昼休みに入り、蘇真先輩を呼びし作戦会議が行われる。昼食はまたしても売店の物だが、誰一人として文句を言う者はいなかった。

 結城は疲れが出ているのかまだ起きる様子がなかったので、そのまま寝かせている。

 このあと結城には大変活躍してもらわなければならないので、しばしの休憩と思っていいだろう。

 私の前には、いつものメンバーがそろっている。一乗寺、二条先輩、宇都宮先輩達…そして、今回一番重要な役を担う予定の蘇真先輩。

「わざわざ風紀委員長の蘇真先輩を呼び出したのには、理由があります」

 私の言葉に皆真剣に耳を傾けるが、次の言葉を聞くとかなり慌て始める。



「午後からの授業をなくし、緊急全校集会を開きます。そこで、一気に私と結城、並びに仲谷君の関係を明らかにしたいと思います」



「葉山、お前は馬鹿か!宗次郎の状況をこれ以上悪くするつもりか!?」

「副会長、俺もそれには反対です」

「「副会チョー、僕等もソウちゃんがこれ以上泣くの見たくない!☆★」」

 私の言葉に一乗寺、二条先輩、宇都宮先輩達の声が次々上がるが、ここで、蘇真先輩だけは組んでいた腕を外し、私の言葉に賛同するように言葉を紡ぐ。

「この際だ、葉山の案に乗るのもいいと思う」

「蘇真!!」

「まぁ、一乗寺、落ち着け。葉山がこう言い出したからには、何かいい作戦があるということだろう。しかも、オレを風紀委員長と言って呼び出していることから………葉山、風紀に何をさせたい?」

 さすがに頭がキレる人達がいると話が早い。



 先ほどまで、一乗寺は慌てていたが蘇真先輩の言葉を聞くと冷静さを取り戻し、私に作戦を早く話せと目で催促する。

 クスッと、思わず笑みを浮かべ作戦を話すが、全貌は話さない。これは結城の協力が必要だし、もしかしたら、結城にかなり怒られることになるかも知れないから。

 しかし、風紀委員にはこれだけはしてもらわないとね…。

「今回の緊急全校集会には、もちろん仲谷君も出席してもらいます…が、仲谷君が騒ぐのは確実で…。そこで風紀委員には、何が何でも集会が終わるまで、仲谷君を捕獲していて貰いたいんです」

「それなら、集会に出席させないようにしたほうがいいんじゃねー?」

 もっともな蘇真先輩の言葉に、私は今度こそニッコリ笑い。

「是非、仲谷君には最後まで出席して欲しいと思うので、風紀委員は仲谷君に集会中、一言も言葉を発せずに…もちろん、暴れさせないようにして、出席させて下さい」

 私の言葉になぜか皆青い顔をしている気がするが、頭の中はもう再び行われる緊急集会でいっぱいだ。


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あきゅろす。
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