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男前なんかじゃない!!2
032.小声の作戦会議。

 生徒会室は転校生くんのハーレム………ではないはずなのに、そんな状態で…。

「光輝、そのほうが断然かわいいな〜」

「光輝、こっちにおいで、飴とチョコがあるよ〜」

「モサモサでもモテモテだったのに、これ以上ライバル増えるのは………」

「でも、この格好になったらさすがにいじめはなくなるんじゃないか?」

「いや、それはそれでゴツイ奴に絡まれたら…」

「その辺は、運動部の部長が締めればいいだろ!」

 上記↑発言は転校生派閥による会話ながら………ぼく等は、ヨイショにしか聞こえない…。

 この光景を呆れつつも、生徒会室がこれ以上カオス状態になるのをどうするか?………いや、その前にスイちゃんを助けねばと思うのだけど、その前に匍匐前進まがいにスイちゃんが、転校生くんを囲む輪から這いずり出て来る。



「ス!―――モフモフッ!」

 ぼくが『スイちゃん』と呼ぶ前にスイちゃんに寄って口を塞がれ、スイちゃんは必死に「しっーーーい」と、口に前に人差し指を立てている。

 なるほど、ここでぼくが叫ぶと転校生くんに気付かれる恐れがあるということか…。

 その後、なぜか生徒会室の役員であるぼく達+真弓先輩は部屋の片隅で作戦会議。



 ※ここより↓、小声で会話しています。

「スイちゃん、これどうすれば?」

 ぼく達はいまだ仕事の山に追われているが、転校生くんに声を掛けようものならあのカオス状態に巻き込まれると思うと、誰も話し掛けられない状態だ。

「たぶん、このまま皆さん(派閥の皆様)が構い通せば、私に興味はなくなり、自然生徒会室から出ていくでしょう」

「葉山、ずいぶん他力本願だな…」

 真弓先輩がスイちゃんの頭を手の甲でコツッと、叩きながらいうが、それしか方法がないように感じる。

「なんなら蘇真、お前風紀委員長様だろ、あのカオスの輪に飛び込み状況を打破して見せろ!!」

「カイリ、なかなかいいこと言いますね。俺も日頃からただ飯ならぬ、生徒会室での休憩のお茶会…それに用事もないのに生徒会室に居座るその根性…ここで、風紀委員として働いてももらってもいいですよね」

「左京、なんでかな?ショキから冷気が漂ってくる気がするんだけど…☆」

「右京、き、き、きっと気のせいだよ★冷房設定間違えたのかな?★」

 おもむろにさっくんがクーラーのリモコンを掴み、温度設定を上げる。が、うっちゃんとさっくんの前には卓磨先輩がにこやかにほほ笑んでいて…。

「何か言いたそうですね、宇都宮、右、左(右京&左京)」

「「な、な、何でもありませ〜〜ん!!☆★」」

「だったら、静かにしていて下さい。これから蘇真をこき使って………と、間違えた。風紀委員として、働いてもらおうと思っているのですから」

 カイリくんと卓磨先輩は真弓先輩を嫌っている訳ではないけど、日ごろから生徒会室をたむろっている真弓先輩を煙たがっている。

 だから今『こき使って』と、言った卓磨先輩の発言は、本気なんだろうなー。

 ぼくもあの転校生くん達が醸し出すカオス空間に近寄りたくないので、真弓先輩に頑張れ目線を送るが、送られた真弓先輩からは若干素で怒りながら、首を振っている。



「無理だ!!オレが行ったらライバルが増えたとあの『枯葉頭』の愉快な仲間達が誤解する!!」

「いや、この際誤解でもいい、行け!!」

「ほら、一乗寺グルーブを将来背負う未来の会長のお言葉です。蘇真、行って下さい」

 上から真弓先輩、カイリくん、卓磨先輩の発言………このような会話をもう30分以上も繰り広げているんだけど、転校生くん達はもう生徒会室にいなかったりする。

 いつになったら、この3人は気付くのかな?

 ぼくの目の前にはうっちゃんの淹れてくれた紅茶。

 それをソファーでくつろぎながらいただいているんだけど、そのソファーにはぐったり疲れ切ったスイちゃんと3人の舌戦に興味身心のうっちゃんとさっくん。

 うーーーん。転校生くんがいなくなっても、ここもある意味カオスかもね…。


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