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男前なんかじゃない!!2
031.イソギンチャク。

 ここで、一番はじめに声を掛けたのはスイちゃん………が、これが悪かった。

「失礼ですが、どなたですか?学園内ではあなたのような人を見かけたことはありませんですが…それに、ここは関係者以外立ち入り禁止で、一般生徒の出入りは許されて―――」

 ダッダダダーーー!!ガシッ!!

 何だがどこかで見た光景………デジャヴ。

 特に人の話を最後まで聞かず、突進してくるところが………て、『突進』???

「「「はっ!?」」」

 みんなが気づいた時には遅かった………。

「翠!!やっとオレことを受け入れてくれるんだな!!オレ、わかったんだ!翠がオレを受け入れない理由は、オレが正体を隠しているせいだって!!でも、これでオレの素顔も分かったし、宗次郎と別れてオレと付き合うよな!!」

「えっえっっ!?」

 スイちゃんもこの人物が………転校生くんだと気付き、身体を離そうと身を捩るが、一度くっついたら離れないイソギンチャクのような転校生くんの粘りのせで、なかなか離れない。



 生徒会は襲撃され………今まさにここを混沌にせんと宇宙人襲撃…そんな言葉が似合う空間に変わりつつある。



 生徒会襲撃………じゃないけど、それに近い状態にある生徒会室。

 いまだにイソギンチャクのごとく離れない転校生くんを必死に引き離そうとするスイちゃん。

 それを、どう誤解しているのか転校生くんは、「テレなくていいんだぞ、翠!!今日からオレと恋人同士なんだから!!」なんて、ありえない言葉が出て、思わずぼくは…。

「スイちゃんは、ぼく―――」

 バンッーーーー!!

「「「光輝!!!!」」」」

 ………またしても、突然生徒会室の扉が開き………た、助かったー、今、ぼくおもっいきり素で話していたよ。

 幸い最後までしゃべらなかったし、突然の乱入者で転校生くんには気付かれなかったけど………もっと、気を付けよう。



 と、ここでぼくを救った新たな乱入者は、転校生くんの派閥の人達で………ほぇ〜〜〜、転校生の取り巻き&各委員会の委員長&運動部部長さん達で圧巻でした。

 しかし、圧巻は圧巻なんだけど、生徒会室ではカオス状態に突入している。

「「「光輝、その姿は!?」」」

 これは、転校生くんの素顔を知らなかった人たちの声。

「コウ、その姿は曝すなと!!」

 おぉー!やっぱり、同室の須王くんは転校生くんの素顔知っていたんだ〜。



 なんて感想をぼくが抱いていると、次には転校生くんの容姿を褒めて甘やかす人達で溢れかえって………てか、ここ生徒会室だから!!しかも、転校生くんは早くスイちゃんから離れてよ!!


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あきゅろす。
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