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男前なんかじゃない!!2
029.モウアタック。

 転校生くんの告白から数日後…。

「あれは、『牛』です!突進が得意で憑りつかれたら最後!!かわすんです!かわさないとこちらが生きるか死ぬか―――」

 その後もブツブツ念仏………にしては、大きな声を上げているのは、スイちゃん。

 この頃のスイちゃんは壊れがちで、とても心配です。

 こうなった原因は転校生くんの告白のせいなのだが、スイちゃんは初めにしっかりお断りしたにも関わらず、転校生くんは、日々めげずに突進し愛の告白を繰り返しています。

 食堂で転校生くんがスイちゃんに告白!!その返事は下記↓のやり取りをご覧ください。



*****

「私には結城という恋人がいます!それに、仲谷君を1ミリ………いえ、ミクロ単位も好きになることないと思いますので、新たな恋をお勧めします」

 そう言って、スイちゃんは転校生くんのうしろに控える転校生くん派閥人員に軽やかに手を添える。

 が、転校生くん派閥の人達は、あまりの展開に皆様唖然呆然としていた。

 そして、この時のスイちゃんは、ここ最近身につけた無表情でとても怖かった。

*****



 それにしても、スイちゃんと転校生くん攻防戦いつまで続くのかなー。

 ぼくが転校生くんの告白に対し、なぜ、これほど落ち着いていられる状況かというと、スイちゃんが毎日ぼくに愚痴とか不満とかを口にして、最後にはぼくが一番好きだよって言ってキスしてくれるから。テレテレ。。

 スイちゃんは、ぼくに相談事とか悩みとかほとんど口にしない。

 それは、ぼくが頼りないからなんて前に落ち込んだこともあったけど、今はぼくに愚痴とか話してくれて…これで少しは、スイちゃんを支えられる存在になっているのかな?て、不謹慎ながらちょっと喜んだり…。

 それに、日々突進してくる転校生くんをスイちゃんがマタドールのように軽やかに交わすことに成功し、今は抱きつかれることもないから不快指数激減なんだよねー。

 そうは言っても生徒会の仕事は減らない…それは改善を求めたいな。

 ついでに、ぼくの噂が早く消えれば言うことなしだよね。



 しかし、こんな願いとは裏腹に………新たな問題が発生する。



 生徒会や風紀委員室には、生徒達の苦情の書類が山盛り状態であったりする。

 風紀委員は今、実行部隊になっているので、その書類は生徒会に来るのだが、今日書類を持ってきた人は真弓先輩で、しかも、疲れるとは違う雰囲気を醸し出していた。

「真弓先輩?何かあったんですか?」

 ぼくが書類を受け取るついでに恐る恐る聞いてみると、今まで「誰も声を掛けるんじゃねー!!」みたいなピリピシしていた空気が、一瞬でいつもの状態に変わる。

 そうすると、真弓先輩も苦笑いを浮かべてぼくの頭をガシガシッ撫でながら、「やっぱ、ここが一番落ち着くわー」と、生徒会室にあるソファーにドカリッと座る。

 真弓先輩が席につくと、スイちゃんの休憩号令「みなさん、少し休憩しましょう」の声………仕事は大変なはずなのに、その言葉を聞くとどこかみんなもホッとした顔をする。



 うっちゃんの紅茶とぼくの手作りお菓子………は、忙しすぎて作れないから市販のクッキーを食べながら、真弓先輩がピリピリしていた原因を聞いてみた。

「俺のチー………夜の仲間が突然何者かに襲われてな…」

 真弓先輩の『夜の仲間』って、確かいつも真弓先輩が遊んでいるお友達のことだよね。でも、襲われるって何かまるで…。

「『族』と間違われたんですか?」

 ブッハッーーー!!

 ぼくのこの問いに真弓先輩は口に含んだ紅茶を吐き出しながら、はっはははーと笑い、「そうかもな〜〜〜」なんて微妙な顔をしていた。


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あきゅろす。
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