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男前なんかじゃない!!2
026.スイちゃんレーダー。

 7月になり転校生くんが転校してきたから2週間が経った。

 転校生くんの破天荒振りの行動から…いや、姉ちゃんの言った『王道ちゃん』のせいか、それとも、人気者達を仲谷派閥に加えたせいか、一般生徒達のじめの対象になっている。

 そして、『スイちゃんを無理やり強姦し、恋人を強要している』と、噂されているぼくにも…。



 日々、敵意の籠った視線が増えていく………。いや、ぼくが出会わないだけで、教室内ではこんな展開なのかも知れない。

 下足箱を開けると典型的すぎる展開が用意されていて、思わずため息が漏れる。

 カッターナイフ、画鋲、不幸の手紙…果ては生ゴミらしきもの…。

 本当なら風紀委員のほうで、事前に防げる行為であるぼくの下足箱。

 でも、今は風紀委員事態が大変であり、そんな暇もないらしい。

 一緒に登校しているスイちゃんは、この事態に眉を寄せて怒りを露わにしているけど、ぼくが上履きを手提げ袋から取り出し、「大丈夫だよ」って、笑うと、眉間の皺をとり苦笑いしてくれる。

 苦笑いでも、スイちゃんは笑っていたほうがいい…。ぼくはまだ頑張れるって思えるから………。

 ぼくの下足箱始末は用務員さんに任せ、スイちゃんと生徒会室に向かう。



 教室には行ってない………と、言うか行けない。

 ぼくのクラスもどうもぼくの噂のせいで、半分くらい敵意を見せている者がいるらしい…。←カイリくん情報。

 で、学園に来ているというのに、生徒会室に直行している。

 転校生くんが流した噂は消えていないせいで、真意がわからずいまだくすぶっている状態だ。

 もし、転校生くんだけが噂を流していたのなら、こんな事態にはならなかったのかも知れない。

 しかし、転校生くんは各委員長達&運動部部長達にあることないこと話したおかげで、それを信じた各委員長達&運動部部長達は、真実味を持たせて友人達に話したことにより真実性が発生してしまった。



 いまだ盲目的に転校生くんの恋人候補もしくは、弟のように思っているらしい各委員長達&運動部部長達は、ぼくを信じるより転校生くんの言葉を信じた。

 キャラ作りをしているぼくは、確かに顔を合わせても話すことなどなく………はぁ〜、今になってキャラ作りのせいで弊害が起こるなんて…と、思わずにいられない。

 それでは、この本性をみんなに知らせれば………的なことを考えたが、今この瞬間にぼくの本来の『乙女キャラ』を暴露したら…うん、間違いなくリコール発生間違いなしで、みんなに嫌われちゃうよ〜〜〜!!



 スイちゃん自身でもなんとかしようと試みたが…。

 スイちゃんが否定すればするだけ信憑性が………と、言うが、スイちゃんが否定するたび、転校生くんがどこからともなく現れ、「無理すんな!!」とか「俺がちゃんと翠を守るから、宗次郎の脅しに従わなくていいんだぞ!!」と、拡張マイクもなしに響き渡る大声を上げ、それがますますぼくの立場を悪くしていく悪循環。



 それにしても、転校生くんは『スイちゃんレーダー』でも持っているのだろうか?

 生徒会室から1歩…とまで行かなくても、職員室とか食堂にスイちゃんが行こうとすると高確率で転校生くんと再会する。

 そうすると、ぼくのイライラは日々溜まっていくのを必死でみんなが止める。

 うぅぅーーー!!だって、転校生くんは毎回スイちゃんに会うたびに抱きつくんだよ!!この際、素のぼくでもいいから文句言いたいじゃない!!

 ぼくが『クールキャラ』演じているからって!………ぼく、生まれて初めて殺意ってものを覚えました。


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あきゅろす。
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