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男前なんかじゃない!!2
020.風紀委員長の命令。(Side.弓)

 『ヤれ』=『セックスしろ』を正しく理解した葉山は、目をこれでもかというほど見開いているが、拒否権は与えない。

「明日、どこまで『噂』が広まっているのか予測ができねー。そんな学園にソウを行かせる訳にはいかねーし、ソウにこんな説明すれば落ち込むこと間違いないだろ」

 俺の言葉に皆ソウのことを思い、微妙な表情を浮かべる。

「明日、葉山の言葉を早急に学園の生徒に流し、『枯葉頭』の『噂』を消す。そうすれば、ソウが一日学園で休む程度ですむだろ」

「し、しかし、結城は―――」

 葉山が何か意見を言いそうになるが、ここは連携ばっちりの生徒会役員+俺。



 もちろん、一番最初の掛け声は俺。

「葉山、ヤれ!この際、足腰フラフラになるまで責め立てろ!!」

「えっ、え!?」

「副会チョー、足腰立たなくするには、生でやるといいよ☆ねー、左京☆」

「僕達も強引に襲ってきた馬鹿男には生でヤって、足腰立たないくらいフラフラにさせてやるからねー♪★ねー、右京★」

 双子の台詞に皆顔を青ざめる。が、愉快犯の双子の言葉にそれほどかまっている暇などなく、その後強引に葉山に了解をとらせる。

 葉山は、一度言ったことは実行するだろ………それに、ソウのためでもあるしな。



 ワリーな、ソウ。生徒会会長であり『噂』の当事者であるお前をのけ者にして…。

 それでも、昼の出来事を風紀委員から連絡を受けている俺は、もう、ソウを悲しませなくないなんて、柄にもなく思ってしまったんだ。

 それは、不良の集まりである風紀委員達も同じで…。

 風紀委員全員、俺がトップを務める『ダーク』って族の仲間だ。

 平凡顔ながら、俺より喧嘩好きな良人を副総長。他の風紀委員もダークのメンバー………これを聞いたら、不良が大嫌いなソウは半泣きになるかもな。



 それでも、そんな不良のあいつ等が、昨年轟に嘘に翻弄されソウを危険分子と認識し軽蔑していた。

 その後、誤解は解けたが、その詫びを兼ねてソウを陰ながら警護していたあいつ等は、偶然ソウ本来の性格を知ってしまう。

 あいつ等が、ソウに幻滅するなんてことも考えられたのだが、殴り込みのように1人で訪れたソウの胆の座った度胸に『幻滅』なんて言葉より、『尊敬』とまでいかなくても、ソウを弟のように可愛がり始めた。



 ソウは素直だし、弱い者の意見もきちんと聞く。

 それこそ、今文化部が『枯葉頭』になびかない理由にもなっている。

 文化部は運動部と違い華はない。そのため、弱小部の文化部などいつも部費が赤字で、実費なんてもの少なくなかった。

 ここは金持ちが多いし、文化部の部員達もそれほど苦にはしていなかったが、それをソウは変えた。

 会計の一乗寺が切り詰めた予算(ダメ部の部費を削った)を文化部に回しはじめたのだ。

「文化部だって、きちんとした部活だよ。漫画部、パソコン部、茶道部、その他の文化部もちゃんと運動部のように目立たなくても真剣に活動しているよ。だから、そんなところにも予算を分けて、文化部を盛り上げてもいいんじゃないのかな?」

 ソウは生徒会の仕事をしたのははじめて、はじめてだからこその意見だったのかも知れないが、これには文化部が感激し、以来ソウのこと陰ながら応援をしている。



 明日が勝負だ!………これで『噂』が消えなかったら…。

 最悪な展開が一瞬頭に浮かんだが、軽く頭を振ることで思考を変える。

*****



 しかし、『噂』は予想より広がりが早く………そして、消すには………。


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あきゅろす。
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