男前なんかじゃない!!2
019.翠姫。(Side.弓)
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ここからは、風紀委員長であるオレの役目と思って話そうと思うが………それより、先ほどの『大人のおもちゃ…云々』…冗談ではあるものの、一乗寺の慌てた表情…お前まだソウに未練たらたらなんだな。
俺様のくせにふっ切れないとは、将来右腕になるはずであろう二条の苦労が予想される。
フーっと一息つき、さて、ここからは気持ちを入れ替えて、あの厄介な転入生…『枯葉頭』のしでかした『噂』の対処だ!
俺は視線一つで良人に頷き、資料を読み上げさせる。
「噂が流れたのは昼休み以降………場所は、陸上部、バスケ部、サッカー部…そして、1年3組からです。
『1年3組』と言っただけで、皆の顔が歪む。『1年3組』=『枯葉頭』それしか思いつかないからだ。
「続けますが、枯葉………仲谷が寄ったところ全てから、噂が始まったのを仲谷についている風紀委員が確認しています。さすがに、噂の審議は当人達に確かめるのが筋だと思いますけど…」
「そんな事実はありません。私は結城に強姦された訳ではありませんし、ごく自然に好きになり恋人同士になりました」
きゅっと眉間に皺を寄せ、鬼気迫った表情で話す葉山。
そんなの確認するまでもねー。昨年、ソウに振られた俺達は、痛いくらいその事実を知っている。
「葉山、怒るな。今ここには葉山とソウをそういう目で見ている者はいない。それより、お前の過去が足かせになってんだよ」
「私の過去ですか?」
「お前、中等部2年頃まで…いや、俺達が卒業したあとも、しばらく『翠姫』なんて呼ばれていたんだろ?」
「…さすがに、身長も伸びて私も嫌がりましたし、3年生になってから私を『翠姫』と呼ぶものはいなくなりましたが…。それが何か?」
微妙な顔をしている葉山…その称号が、今まさに足を引っ張っているのに気付くはずもなんだろうな。
二条を見ると、顎に手をかけ思いついたことがあるのか眉間に皺を寄せ、深刻そうな顔をしている。
確かに俺も盲点過ぎて、ため息しかでない…。
「お前、『翠姫』と呼ばれていた時、やけに運動部の連中に好かれていただろ?だから、運動部の連中はいまだにお前をか弱いお姫扱いしていて、宗次郎が葉山に襲ったのも真実かも?………なんてことになってんだよ」
「なっ!?今更、そのことを引っ張り、結城を強姦魔に仕立ててしまったってことですか!?」
葉山はショックのあまり、額に手を当てているが、問題は明日以降、この『噂』がどこまで広がるかだ。
学園でなら防ぎようがあるが、いったん寮に帰ってしまうと、個々となるため風紀の人数が足りなくなる。
それでなくても、学園でもかなり噂になっていて………明日、ソウを学園に行くことを止めないとな…。
「葉山、風紀委員長の命令だ。今日、結城を足腰立たなくなるまでヤれ!!」
俺の声が会議室に響き渡った。
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