男前なんかじゃない!!2
017.噂。 bP(Side.翠)
017.噂。 bP(Side.翠)
ぐったり疲れ切って眠っている、結城。
あれだけ激しく抱いたら、明日というか今日はきっと起きられないとは思う。が、これで本当に良かったのか、思わずため息が漏れる。
いまだ結城の中にある私のモノを抜き、結城の額に掛る数本の髪を掻き上げる。
こうして改めて見ると、結城は男前と呼ばれて当然の顔をしていて、自分とは違うキリットした顔を羨ましく感じる。
私はどちらかというと、きれいと呼ばれることが多く、中等部に入学した当初は身長も低くく、生徒達から『翠姫』など不本意な呼び名が付いていた。
それに伴い、いつも何かあるたび女装を頼まれたり、同じ男としては不本意なことが多かった。
それでも、中等部2年頃から徐々に身長が伸び始め、かっこいいと呼ばれることが多くなったが、いまだ姫扱いされていた記憶は生徒から消えない…。
結城を抱いているのが私と知れば、生徒達はどのような顔をするのでしょうね。
クスッ。
「う、うぅーん」
思わず笑うと、結城が私に身体を摺り寄せてくる。
このまま私も眠りたいが、結城に出したモノを処理しなければならないし、結城の身体もきれいにしなくてはならない。
結城の身長は私より高く、風呂場まで抱いていくことは不可能だ。体重はいまだ軽いが、抱き上げると手足の長い結城を怪我もなく運べることはできない。
蘇真先輩の身長が少し羨ましく………それなら、筋肉でもつけて軽々抱き上げるようにしようかと真剣に考えながら、結城の身体を拭くために洗面所に向かう。
結城に話せないことがあった。
平日に結城をこれほど激しく抱く理由が…。
これを知ったら結城は………でも、これしか私達には方法がなく。
*****
夕食後、自室でくつろいでいる時、蘇真先輩からメールで招集がかかった。結城以外の生徒会全員に…。
メールを見て嫌な予感がするのを止められなかった。
【結城には知られずに、こっそり寮内の会議室に来い】
廊下に出ると、ばったり一乗寺に出くわし、私の顔を見るなり力強く頷き、肩を1つ叩かれる。珍しい………一乗寺に気を使われるなんて…。
一乗寺とは、中等部2年から生徒会で一緒になり、俺様な生徒会長が一乗寺、それをフォローするのは私。
そんな間柄でしかなかった私達は、これほど気軽にしゃべり、気を使われるなど結城と出会わなければ考えられないことだった。
私は、昔を懐かしく思いながらも一乗寺に苦笑いし、一緒に会議室に向かう。
*****
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