男前なんかじゃない!!2
014.王道キャラ。
学園内では猫を被っている(※『クールキャラ』)ぼくは、スイちゃんに抱きつく転校生くんを排除する訳にもいかなくて………目線で、うっちゃんとさっくんに訴えてみる。
うっちゃんとさっくんは、そんなぼくに仕方がないなーって苦笑いして、ぼくの代わりにスイちゃんから転校生くんを引き離そうとする。
「コウちゃん☆そろそろ副会チョーさんから離してくれるかな?☆」
「僕達これから、お昼ご飯だからね★」
「あぁーーー!!右京、左京もいたのか!?でも、オレは翠から離れないぞ!!翠はオレと一緒にいるのが一番うれしそうにしているからな!」※双子はすでに転校生くんと出会い、お友達宣言されられています。
転校生くんの言葉に食堂に残っている生徒からざわめきが起きる。
てか、ぼくもその中に入ってざわめきたいです!!「ぼくのスイちゃんから離れろ〜!!」って!
もちろん、スイちゃんは転校生くんに抱きつかれて喜んでいるはずはなく、困惑しながら身体を引き離そうと必死になっています。
でも、転校生くんは力が強いのか、スイちゃんがいくら頑張って引き離しに掛っても腕一つ引き離せないんだよね。どんだけ、転校生くんは力が強いのだろう?
そうしているうちに、ぼくは転校生くんと目が合っちゃって………。
じぃーーーーっと、見られること約10秒。←ぼく的にはもっと長く感じています。
と、その次の瞬間。
「オマエ!スゲーかっこいいな!!須王とか弓とかずいぶん男前な奴見たけど、オマエ、スゲーかっこいい!!なぁ、なぁ、どうなれば、オマエみたいにかっこよくなれるんだ!?まずは身長か!?身長伸ばすためには、カルシウムとかとればいいのか!?でも、オレ魚とか牛乳とか好きじゃないんだよな!!でも、牛乳は温めると飲めるぞ!!あ、それとも―――」
ごめんなさい………。あまりにも爆裂トークで止めるタイミングが掴めないし、いまだ抱きつかれているスイちゃんも助けることができません。
クールキャラのぼくがここで怒鳴る訳にもいかなし、止める………のは、どのタイミングで入ればいいのかわからずじまい。
一応、カイリくんと卓磨先輩に視線を向けてみると、転校生と出会ったのは初めてではないはずなのに固まったままだ。
すごい…卓磨先輩を固まらせることができる転校生くん!君は神か!!
ここでぼくが違った方向で関心をしていたら、突然転校生くんが怒りだした。
「オイ、オマエ、聞いているのか!!オレは今オマエに名前なんて言うんだって聞いてやっているんだぞ!!ちゃんと、人の話しは聞けよ!!」
えぇぇぇーーー!!これってぼくが悪いのーーー!?
しかし、返事をさせないほどの爆裂トークを繰り広げていた転校生くんには、罪の意識はないようで、ぼくにキツイ目線を向けている。
それにしても、『聞いてやっている』すごい上から目線………俺様キャラよりすごいんだな…王道チャラというものは………。
気を取り直して転校生くんを見ると、側には派閥1人目の爽やか少年、奥村聡くんがキッとぼくを睨んでいるし、派閥2人目の不良、北瀬須王くんも親の仇のようにぼくを睨んでいて………早く、自己紹介しろって、ことだよね。
「四ツ谷学園生徒会会長、2年1組、結城宗次郎」
転校生派閥の人達に睨まれて怖いけど、何とかクールキャラ維持させて自己紹介しました。
ぼくえらい!!よし、ついでにスイちゃんのことも何とかしなきゃ!
「てん………(転校生くんの名前なんだっけ?)」
「ソウちゃん、転校生君の名前は仲谷光輝☆」←小声で右京が教える。
「仲谷、スイはおれの恋人だ。抱きつくのは止めろ」
「えっ!?」
よし!転校生くんの名前を一時忘れていたけど、うっちゃんのおかげで切り抜けたし、スイちゃんのこ、恋人がぼくだと言ったし、これで解決できるよね。
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