男前なんかじゃない!!2
011.惚れこむ者・囚われた者。
ここまでは何となく理解できるけどね。←姉の情報で。
でも、ここからがよくわかんなくて…。
「やられた…」
「何がです?」
ある日、生徒会にげっそり疲れ切った表情で現れた真弓先輩。ソファーに座るように勧めながらスイちゃんが聞き返すと、とんでもないことが発覚した。
「各委員長、運動部部長………根こそぎやられた…」
「「「………(どういう意味だ?)」」」
訳がわからず、ぼく等生徒会役員が首を傾げていると、真弓先輩が顔に手をあてつつ説明し始める。
「四ツ谷学園は中・高一貫の全寮制学園だ。生徒は良家の子息が多く、そのため奇想天外な『枯葉頭』に惚れこむ者…もしくは、我が儘な弟ができたような感覚に囚われる者がでた」
「真弓先輩、『枯葉頭』って、なんですか?」
「あ、ワリー、ソウ。『枯葉頭』は風紀委員での仲谷のことで…。仲谷なんて上等な名前よりこっちのほうが似合っているだろ?」
ぼくの質問に真弓先輩は顔を上げ、最後のほうはニヤリッといつものように笑う。
しかし、『惚れる者・囚われた者』とは、誰を指すのか?その疑問をぶつけると。
「委員で言うと、体育委員長、美化委員長、保健委員長、図書委員長…。運動部で言うと、陸上部部長、バスケ部部長、野球部部長、柔道部部長、空手部部長…」
そ、そんなに!!しかも、大物ばかり!?
姉ちゃんの言った通りの展開じゃないかー!!
ぼくをはじめ皆同様に目を見開き、唖然として真弓先輩のことを見つめるけど、事態は変わるはずもなく…。
「それでも、文化系の部長達は『枯葉頭』に惚れる・囚われる奴は、少なくすんでいるが………これも、いつまでもつか…」
「それは、仲谷君が派閥者………ゴッホン、いえ、友達(?)を増やす可能性があるとですか!?」
いち早く、この事態の深刻性に気付いたスイちゃんが真弓先輩に珍しく、食って掛かるように突っ込むが、それはそれより最悪な事態を予想させるものだった。
「増えるというより『感染する』だな………なんせ箱詰め(全寮制)にされた空間にあの嵐(転校生)だ。ウイルス並にどこでもまき散らし、抗体のないオレ達には予防のしようもない」
「生徒会と風紀委員の連携を強くしましょう。風紀委員は行動するだけでいいです。仲谷君が起こした問題を書類にしていますね」
「あぁ」
「今後、全ての書類はこちらで引き取り処理します。風紀委員はこれより仲谷君の監視、それに伴い生徒達が何か問題を起こすことがないよう注意して下さい。もし、風紀の人数が足りないなら、各クラスの委員長もしくは副委員長に協力要請します」
スイちゃんの言葉にさすがにぼく等もビックリするが、不満を言いたくても言えないよね。
「右京………また、ソウちゃんとアップルパイのコラボ遠くなったね★」
「仕方がないよ、左京☆………でも、そのうち『枯葉頭』に―――しにいこうか?☆」
「だね★」
さっくんの言葉に悲しくなるが、うっちゃんの「『枯葉頭』に―――」部分、聞こえなかったけど、何を言ったのかな?
このあと、うっちゃんとさっくんの「―――しにいこうか?☆」という時間もなくなるほど、ぼく等生徒会は修羅場に突入する。
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