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男前なんかじゃない!!2
『男前』の組分け。bR(Side.折原)

「那須屋、お前、猫の手も借りたい状況で、借り出された人員なのに、ずいぶん余裕だな…」

「うーーーん、まぁ、折原センセイと一緒なら楽しいかなって思って。…それと、3−3のアンケートでまずいのは、陸上部の瀬川クンとバスケ部の楠野クンかな?」

「「………(いつの間に調べたんだ!?)」」

 那須屋先生の発言に僕と土嶺先輩は驚く。

 僕の心のメモ帳に那須屋先生、『不思議キャラ』と書き足しておこう。



 そうそう、組分けは体育の授業の体力測定や部活の有無とかで決めるのはもちろん。生徒自身が希望する組を提示することもできる。

 そうは言っても、誰でも希望通りの組に入ることはできないけど、今回の組分けには頭を痛める事態となっていて…。



「で、その2人は…」

「はい、結城クンの青組希望ですね」

「あ、土嶺先輩!!3−3の可愛い子は、一乗寺君の黄組希望が多いです!」

「はぁ…。で、残りのヤンキーやら萌え好きが、仲谷の赤組希望か?」

 最後の土嶺先輩のため息は、今の職員室全体のため息に感じる。

 アンケートで一番多い希望が、結城君のところ、次が、一条君で、最後の仲谷君は、マニアックな人達が集まっている気がする。

 この事態は、予想外の出来事だったらしく、今回の組分けは今世紀最大の難問だと、僕以外の教師は頭を痛めていた。



 パンパンッ!!

 突然、手を叩き校長先生がこちらを注目!と、叫ぶ。

 僕等教師は、その校長先生の突然の奇行に疑問符を浮かべながらも、手を休め注目すると。

「皆さん、それほど肩に力を入れず…。そうですねー、生徒達のためとは言いますが、これは、私達教師も関係する事で、そこは『神頼み』するような気持ちで、君達がテキトーにまとめて下されば」

「おぉー、校長先生、良い事言いますなー」

 パチパチッ拍手しながら、相槌を打つ教頭先生に殺意が集中する。



 ここ(四ツ谷学園)の力関係は、1に理事長、2に生徒会、3が教師。

 なんて理不尽な!と、思うかも知れないが、行事や部費や生徒会経費を一手に引き受ける生徒会。当然の権利だと思う。

 なので、校長先生の話しから裏読みすると、もし、生徒会が独裁者とか我が儘な人になると大変だから、僕等教師達で何とかせーって、ことになるんだろ。

 これって、あからさまに不正のような気が…。



 僕がこう感じているのだから、他の先生達も………て、あれ?何だか、皆さん、土嶺先輩と那須屋先生を見て震えているような?

「こ、こ、こここここ、校長先生、きょ、教頭―――」

 僕が勇気を振り絞り出した声は、途中で遮られる。とても、きれいな(ある意味どす黒い)笑みによって。

「黙っていろ、折原」

「黙っててね、折原センセイ」

 土嶺先輩と那須屋先生が、笑っているよ〜。

 確かに、満面の笑みで笑っている………はずなのに、なんでだろう?有無を言わせぬ迫力を感じるのは気のせい?

 若干、涙目になりながらも、周りの先輩教師達に目を向けると、全て顔を逸らされました!!何で〜〜〜!!



 その後、笑みを浮かべた土嶺先輩と那須屋先生は、モデル顔負けのウォーキングで校長&教頭先生に近づき、耳元で何かを囁いていた。

 囁くたび、校長先生の残りわずかな頭髪は、サラサラと床に落ちて行き…一方のメタボ腹の教頭先生は、寒くもない職員室でダラダラ汗を流してゲッソリしていった。

 もちろん、顔色は最悪で、わずかに残った良識か、はたまたここにいるとまた迷惑になるので、カエレっと言われたのかは定かではないが、土嶺先輩&那須屋先生タックが校長&教頭先生を追い出すことに成功。

 ………もしかして、教職員の力関係は、1か2に土嶺先輩かまたは那須屋先生ってことになっているのだろうか?

 僕のこの考えはあながち間違っていなさそうだが………よし、深く考えるのは止めよう!



 校長&教頭先生の退出後、体育祭の組分けは着々と進んで行く。

 そして、知りたくもない、先輩達の本音も聞くことになり…。


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あきゅろす。
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