男前なんかじゃない!!2
おまけ3☆卒業。(Side.翠)
おまけ3☆卒業。(Side.翠)
目と鼻を真っ赤にして、ステージ上にいる、結城。
「3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。―――」
そんな言葉とともにはじまった卒業式は、暖かい春の木洩れ日溢れる中行われた。
―――卒業、おめでとうございます。―――
たくさんの1、2年生の歓声や拍手。そして、泣き声…。
男子校である四ツ谷学園は、可愛い子も多い………が、泣く時はなぜか皆さん素に戻るのか、顔が可愛くても男前に泣いている。
で、この学園一黙って立っていれば、男前と言われる、会長は………。
「ぐっびっ、ひっく、ずっずずっー」
見事な泣きっぷりを見せていた。
ちなみにピンクのレースのハンカチを持っている姿に、保護者の皆さんは若干引いていた気がする。
私や学園の生徒は結城の乙女モードに慣れているので、それほど違和感はないが、よくよく考えれば当たり前の反応なのかも知れない。
「ソウちゃん、そんなに泣かないでよ☆」
「僕等まで哀しくなっちゃう、グッスン★」
「ほら、ソウいつまでもめそめそ泣くな、男前………じゃなくて、可愛い顔が台無しだぞ!」
「カイリ、この泣き顔を数枚撮って、空也様に売りつけたらいくらになると思います?」
上から宇都宮先輩達、蘇真先輩、二条先輩…。
最後の二条先輩の台詞はよくわからないけど、なぜかケータイで一生懸命に撮影していく。
悪用される恐れはないので、あとで私のケータイにも転送してもらおう。
それにしても、私に寄り添いながら涙を流している結城は、恋人の欲目ではなくても可愛いと思う。
身長は、かなり差を付けられてしまいましたが、それでも可愛いと思ってしまう。
今や結城の背はきっと、一乗寺や二条先輩の背よりも大きい気がする。蘇真先輩よりは数センチは低いと思うが、190pくらいだと思われる。
うん、間違いないね…こうして、一緒に並んでいると…。
これは、結城には言わないほうがいいが、4月の身体測定ではまたしても、私が宥めることになるのかと思うと、いまから憂鬱だ。
2年の身体測定の時は大変だった…。
「嫌だ!!身長は、去年と変わらないはずだから、おれは測らない!」
「えっと、結城君、そうは言ってもね、去年は去年で、今年は今年だから…」
「おれには必要ありません!!」
この時の結城はまだ『クールキャラ』で過ごしていたが、身長測定を拒否するあまり、何キャラかわからなくなっていたような気がする。←生徒達にはまだ乙女キャラがバレてなかった時代。
そして、それを必死で宥める測定係りの看護師。
結局、この時も私が結城を連れ出し、説得することができたが、あれを、今年もやるのかと思うと気が重い。
そんなことを考えていると、卒業する3年生や見送る1、2年生が集まり、「一緒に写真を!」と、乞われる。
もちろん、それに快く答えると周りに生徒が集まり大変なことになる。
最後に現生徒会と&短期間だったが、前生徒会の役員&前々生徒会による集合写真。
少しの期間しか生徒会役員しかしてなかった、奥山君や石井兄は遠慮しつつも、仲谷君に強制的に入れられる。
のち、映し出された写真はみんな笑っていた。
私や結城や一乗寺………あの時、我が儘放題で問題児だった仲谷君や仲谷君の件がなかったら知り合うこともなかった北瀬君も笑っている。
結城がみんなを笑顔にしていく。
そのためにも、結城の笑顔を私が守って行こうと思った、そんなある春の日。
おまけ☆卒業。 END
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