男前なんかじゃない!!2
094.風紀室への訪問者。bP(Side.弓)
「おれ………退学かな?」
控えめなノックと憔悴しきった顔…何があったかなんて明らか。
枯葉頭………もとい、仲谷光輝のそんな登場に風紀室にいた風紀委員の驚きは隠せない。
そういう、俺もそう思っているが、何が原因なのかははっきりしないが、枯葉頭の目は俺を真っ直ぐ見つめていて…。
「良人、悪いが―――」
「わかっている。みんな、ここは弓に任せる。僕達は一時学園の見回りっと、ついでに食堂で茶でもしてまったりタイムだ!」
良人のこの発言に皆逆らえるはずもなく、すこすこ風紀室から出て行くが、その際、きっちり枯葉頭を睨むことは忘れない。
さすが、俺のチーム…。
数ヶ月前のこいつがしたことにまだけじめはついていない。そろそろ、俺も本腰入れて対応しないとな…。
それにしても、『退学』なんて文字は、どこから出たことやら…。
ため息1つついて、一応、現生徒会長である枯葉頭にソファーに座るように促すが、茶は出さない。
「で、『退学』はどこの誰に言われた言葉だ?」
「………聡が言った」
なるほどね。さすがに奥村聡がキレたということか?
「枯葉…仲谷、そう言われた原因に心当たりはあるっということか?」
「…わかんねーけど、体育祭の時宗次郎にビンタされて、それで色々考えて…でも、母さんがおれは悪くないって、正しいって………それで、また訳わかんなくなって…聡に聞いたら、普通ならおれは退学だって言われて…」
母さん?こいつマザコンか?………ありえるかもな、きっと猫っかわいがりして甘やかされて育ったぼんぼんというところか。
はぁー、この対処になぜ俺がなるかなー。
「それで、そう言われて、お前は退学になりたいということか?なんなら、退学届の書き方教えてやるぞ」
俺がこう言うと、かれ…ではなく、仲谷は唇を噛みしめたまま俯く。
おっ!いつものこいつの反応なら泣き出して、うるさく文句をいうところなのに、どうやら真面目に話を聞いた方がよさそうだな。
仲谷は、体育祭を機に騒ぐ・暴れる・破壊するの3大奥義を封印した。
よほど宗次郎のビンタと言葉が堪えたのだろうと、学園の生徒は思っていたが、それとはまた違い考えさせることがあったということか。
「退学は嫌だ………けど、おれ………」
涙を必死にこらえる声…先を促しながら聞いてみると、かなりのことを仲谷は奥村聡に言われていた。
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