うさぎの初恋
◆33.爆発の予感。◇
◇◆【視点なし】◆◇
好野の最後の台詞を聞いた、うさぎはキッと泣きはらした真っ赤な目で睨み、何を思ったのか、床に転がっている小麦粉を掴むと、長耳の親衛隊に投げつける。
袋ごと投げつければ打撃により多少は効果がみられるが、うさぎは小麦粉を手で掴み、まるで『はなさか爺さん』の如く周りに振り撒くので、旧校舎家庭科室は先ほどよりもより濃く白煙にまみれる。
「これはまずいな…」
「なんで〜?」
こう呟くのは、生徒会会計である城ケ崎育義。
隣にいる生徒会会計の美里ゆりは首を傾げ、育義を見上げる。
この2人は、うさぎとの面識はないが朱里から、『今日のうさぎ情報』を毎日聞かされているので、初対面という気はしていない。
それでも、ここで自分達が出て行けば、混乱を収拾するものがいなくなるので、裏方として家庭科室で伸びている親衛隊員の救出&受け渡し(制裁に参加していない親衛隊に)を率先して行っていた。
そして、いましがたそれも終了し、さて、この場をどう収めるか…と、育義とゆりは知恵をしぼっていたが、育義の発言でそれも一時中断するしかない。
「ゆり、『粉塵爆発』って知っているか?」
育義の質問にゆりわからないと首を振ると同時に、よくわからないが第六感ともいうべき感でいやな予感がじわじわしてくる。
「こんな密室状態の粉っぽい部屋にいて、突然火が上がる。その火は何も巨大な火ではなくてもいいんだ。ごく小さな火で…」
「えっーと、育ちゃん、そうなるとどうなるのかなぁ〜?」
聞かなくても何となく予想もできるが、そう聞いてしまうのはやはり好奇心旺盛な年ごろということで!!と、妙なことを考えながらゆりはそう尋ねるが、やはり聞くべきではなかったとのち思う。
「爆発…」
うん、やっぱり聞かないほうが良かったなぁ〜と、ゆりは遠い目になるが、それでもこの場に火の気になりそうなものがあるかキョロキョロする。
「ガスコンロが一番危ない…ということで、ゆり、ガス栓の確認を―――」
「なに、どしたの?」
育義が言葉を切り出入口を凝視しているので、ゆりもそちらを向くが、そこにはまたしても頭が痛いモノが来ていて…。
もうこの際、そっち問題は俺達以外に任せよう!!…と、育義&ゆりはお互いの目で会話しつつ、火元チェックに向かう。
◇◆◇◆◇
※『粉塵爆発』はマジ話しなので、良い子はマネしないように!!洒落になりませんからね。。
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