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うさぎの初恋
◆14.兎三山朱里親衛隊。

 一方、こちらはちゃんと緊迫ムードになっている生徒会室。

「風間!出て来い!!」

 俺のこの一言で、壁が揺れ………てか、生徒会室内と同じ壁紙を手に持って隠れていた生徒が登場した。

「えっっ!?」

 この驚きは、1ヶ月半でまだ会長親衛隊のなんたるかを知らない、里美ゆりのものだが、俺を含めた長耳と城ケ崎先輩は、驚くよりも「やっぱりここにもいたか」という、あきれた顔しかできないでいる。

 壁から登場した人物は、会長親衛隊&くノ一同好会会長の2年の風間(かざま)。



 容姿としては、平凡…なのだが、その平凡を活かし、どこでもいつでもなんどきでも俺の前にあらわれることができた。

 ついでに常日頃気配も消しているので、まるで存在感が感じられないのが恐ろしい。

 原則生徒立ち入り禁止の生徒会室までなぜ入れるのか、いまだになぞだが、避けても×100どこにでもあらわれるので、諦めるしかないのだろう。



 2年S組、兎三山朱里、生徒会長。

 家柄、容姿、頭脳、スポーツ、教師&生徒の信頼度、全てにおいてオール◎の俺。

 そんな俺にもやっかいなものが存在していて………会長親衛隊兼くノ一同好会。

 くノ一同好会…まぁ、ようするに「忍」大すっき子が集まっているのではあるが、なぜに女性版「忍」の「くノ一」になったのかは不明。

 入会者全員、気配が消せるらしいとか、手裏剣投げが百発百中できるらしいとかあるが………深く考えないほうがいいのだろう。

 ちなみに、「気配が消せる」=「見た目平凡」が一番らしくて、どんなに目立つ容姿の者でも、このくノ一同好会に入会すると、数日で平凡君に変身できるらしいと噂あり。



 しかし、このくノ一同好会には鉄の掟があって…。

「風間、くノ一同好会は俺(兎三山朱里)至上主義だったはずだな?」

「はい…」

「どうなっている?」

 俺の質問にさすがに風間の瞳が揺れ、つぎには床に這いつくばるように土下座し始める。

「も、申し訳ございません!!会員達に伝令は行き届いていたのですが、どうも末端の仮会員にはいき届いていなかったようで、少し目を離したすきにこのようなことに…」

「それでは、その者達の監視は?」

「は、はい!!それは、もう、ちゃんと間者をはなって監視させておりますが、決行日は明日と連絡されて、なぜこのようになっているのか………はっ!?」

「風間?」

 突然、風間は何かがひらめいたようで、床にこすり付けていた顔を上げると、素早く窓に向かう。


[*の後退]の前進*]

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あきゅろす。
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