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うさぎの初恋
◇11.会長の返答。

 会長をじっと見つめる、見つめる………ぼくは先ほどの返事を待っている。

 しかし、一向に会長は顔を赤くしたまま、ぼくを見ようともしない!!

 こんな時になんだが、本気で怒るぞ!!←ウサギがからめば、うさぎは怒れる。

「会長!!さっきの返事!!ぼくを連れてってくれますよね(ウサギの山に)。会長の言うことはちゃんと聞きますし、何なら会長の言うことならどんなことでもしますから!」

 台詞とともにウルウル涙目で見つめてみる。

 これで、家族やぼくを知る人は落ちるので、会長も落ちるはず!!



 しかし、この5秒後に事態は急変し…

 ブッハッーーー!!

 ………会長が鼻血を噴いた。






◇◆【雄介視点】◆◇

 何かある………と思う。しかし、何が?

 予想するしかないけど、うさぎと副会長は知り合い?………しかし、先ほど『シュリ』とうさぎが言った時点でそれは、うさぎと会長が知り合いだと確信する。



 うさぎの飼っている『殿』という名のウサギ。

 小学校からの付き合いの俺でも知っていることだが、当時俺もそのウサギを馬鹿にしたことがある。

 言うなれば、その頃俺はいじめっ子というもので………そして、いつもいじめられていたのがうさぎだ。

 初めは名前だったと思う。『うさぎ』なんて変な名前!そんな些細なことから始まり、次には女じゃないのにウサギとばかり遊んでいる…など。

 そのことを気にするうさぎではなく、その一件から髪を伸ばし始めて女の子のような色合いの服を平然と着ていた。

 そして、『殿』を拾ったうさぎは、小学生であっても社長出勤に途中早退する問題児になった。

 片腕がないウサギ…馬鹿にする気はなかった。でも、俺はうさぎを『殿』に奪われたような感覚に陥り。

「片腕のウサギなんて気味が悪い!ウサギの名前が『殿』なんて変だ!!真っ黒のウサギなんて真っ黒な猫みたいに不幸を呼ぶ!」

 きっとその時の俺は、それ以外にも思いつく限りの言葉をうさぎにぶつけた。

 あとは、まぁー、想像どおり取っ組み合いの大喧嘩をうさぎとしてしまったと…。



 うさぎがこの時キレたのは、当たり前だと思うが、当時のうさぎ母からは「うさぎでも怒ることができたのねー」と、妙な感想を言われていた。

 このことがきっかけで、俺はうさぎと親友になった。

 そして、うさぎから『殿』を拾ったいきさつなど聞いて、『シュリ』という名前の子供を俺達は探すが、見つけることはできなかった。

 うさぎはそのことにかなり落胆していたが、『殿』がいればいつかまた逢えるかもしれないからっと、哀しく笑っていたことを想い出す。



 うさぎ、『シュリ』は兎三山朱里の『シュリ』ではないのか?

 のど元まで出かかる台詞だが、いつもこっちは迷惑かけられているんだ、自力で気付けよっと、放っておく。

 どうも、副会長も昔のいきさつを知っているらしく、こちらもほっといているみたいだしな。

◇◆◇◆◇


[*の後退]の前進*]

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あきゅろす。
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