うさぎの初恋 ◇01.うさぎと誕生日と雛祭り bP◆ 3月3日は雛祭りであると同時にうさぎの日………要するに猫屋うさぎ(ねこや うさぎ)が生まれた日である。 と、ここで、様々な反応を見せている人々を紹介したい。 ◇◆【草間雄介(くさま ゆうすけ)の場合】◆◇ 3月3日………それは、悪魔の日。←雄介的に! 1ヶ月前から、『ウサギグッツリスト』などと書かれたキテレツな紙を渡され、もし、これが手に入らなかったら………考えるのもおぞましい過去の出来事を思い出してみる。 登校拒否、ひきごもり、俺がそれを手に入れるまで断食………このくらいならまだマシ。 いかがわしい場所になぜか足を向け、挙句の果てにはソノテの男にナンパそれそうになっていたりしている。 うさぎは外見的に可愛いと思う…しかし、それはウサギグッツが目の前にあればだ!! いつもはどこかぽや〜っとしている顔が、ウサギグッツを見ると笑顔全開のキラキラ瞳を輝かせている様は………幼馴染で親友の俺であっても、なぜか言うことを聞いてしまう魔力がある。 おかげで俺は、うさぎのその顔に毎年負けて………彼女よりうさぎを選んでしまい破局…と、まぁ、俺の話しはいい。 とにかく、俺はうさぎから毎年渡される『ウサギグッツリスト』を予想し、いつもどおりそれを用意しようと奔走するのだが…。 しかし、今日渡されたリストに目を通すと。 うさぎよ!お前は、これを俺に要求するのか!? 草間雄介…うさぎと親友になってから早○○年。彼の苦労はまだまだ続きそうだ。 ◇◆【立川長耳(たちかわ ながみ)の場合】◆◇ 3月3日は、朱里の初恋の君、うさぎ君の誕生日。 明後日にその日を迎えるのであるが………ここに、なぜかそのうさぎ君の親友である草間君が私の目の前にいて…。 「立川先輩、助けて下さい!!」 開口一番こんな言葉とともに眉を下げている姿を見ると、同情心が沸く。たとえ何を言われても、誰しも助けたいと思ってしまうだろう。 草間君君の今の姿は、犬であれば、まさしく耳を下げて情けなくクゥ〜ンと鳴いている状態だ。 そして、理由を聞いて見れば、こちらとしてもそれは都合の良いことであった。 「で、これをうさぎ君が望んでいると?」 草間君から受け取った紙を見て思わず、聞き返してしまう。 「はい…。もちろん、うさぎは自分のものになるなら嬉しいと思っているけど、そこは俺の小遣いの範囲外なので見るだけってことで我慢してもらって、あとは団子とかウサギグッツをプレゼントすることで諦めてもらいました」 「でも、5段のものとなると、相当なものだし………しかも、本格的なものを捜しているんでしょ?」 「そうなんですよ〜、必死で捜しているんですけど、そんな無理難題なものをお店の人も見たことがないって」 半泣き状態の草間君の顔を見ながら、このプレゼントがとこかで手にはいらないかと、考えてみる。 そして、一つの解決策が見えた。 「草間君、これを持っている人がちょうどうさぎ君の誕生日プレゼントで色々迷っているみたいだから、一度相談してみては?」 この言葉に草間君の顔が一気に晴れ渡る。 さて、私も何かうさぎ君のプレゼントでも用意しますかね…。 [*の後退][の前進*] [戻る] |