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ちょっとした読物
成り代わり
退治屋の里が責め滅ぼされ幾多の命が失われしその頃、
一人の男…【奈落】がその場に佇んでいた。

「くく…首尾よくいったか」

狒々の毛皮で身を隠すという何とも奇妙な成り立ちをした男、明らかに人とは思えないその姿。
その惨劇を目の当たりにすればさも愉しげに、喉奥でくつくつと笑いを零す。

「後は世を忍ぶ借りの姿を手に入れるだけ…」

そう呟いた後、次の己のやるべき事に思考を巡らす。
そしてふ、と踵を返せばその彼は静かにその場を後にした。

 

夜も更け寒さも一段と厳しくなった刻限、
ある城の一室にて男が一人横たわっている。

「ゴホ、ゴホッ…今宵は一段と咳き込みが酷いな」

ゆっくりと半身を起こしたこの城の若殿、【蔭刀】は何度も苦しげに咳を繰り返していた。

「若」

「ん?奈落か、入れ」

気配を感じさせぬその現れ方に僅かに驚いた蔭刀は、そう一言返事を返した後そのまま言葉を続けた。

「如何したのだ、奈落。このように更けた刻限に私の元に訪れるとは」

「いえ、ただ若のお声が聞こえたので失礼と存知ながらも参ったまでのこと。…今宵は一段と状態が悪いとお見受けする」

「ああ、やはりわかるものなのだな。私ももう…長くはないのだろう」

悟ったような、それでいてどこか凛とした態度を崩さぬ蔭刀に奈落は驚きを隠せなかった。

―…この男、死に恐れはないのか…?―

そう片隅で思いつつ、機会も訪れたと察した。…そう、成り代わる機会が。

「…若。その命、わしに預けてみる気はございませんか?」

ゆっくりと歩み寄ればスッ…と血色の悪い己の手を蔭刀の首に置く。
同時に今まで素顔を隠していた狒々皮に手をかければ無造作に地に放り投げる。

「! っ……奈落、お前…」

「ふふ、驚くのも無理はあるまい。まさか己と同じ顔をしておるとは露にも思わんだろうからな」

「ああ、驚いたな…先のお前の言葉の意味も、ようやっと解かった気がする」

「ほお、ならばこれから己の身に起こることも解せるであろう」

紅い双眼を鈍く光らせると徐々に力を込めていく。
蔭刀は苦しげに呻き声を上げつつ最後にある言葉を発した―…




事を成し遂げた奈落は寝所に佇んでいた。

「あの男…最後にあのような言の葉を吐くとは…」

嘲笑いながらも先の言葉を思い出す。

『―…奈落。お前になら私の命、預けてもいいかもしれぬな』

「ふん、くだらん」

その思考を必死に振り払うと次なる策に考えを巡らす。
全ての欠片を我が物にするために…

                             END

やっと終わったよー。的なあとがき
やっちまったよ!何、これ奈蔭?(待て)
そう言えば奈落って何時若様と入れ替わったんだろー、とか考えてたらこんなのになりました。
何だか無駄に長いような…
でも書いてる本人としては楽しかった、でも文才ないから上手く表現とか出来ませんが。
うわ、ヤバイ。絶対表現間違ってるとことかあるよ(駄目)
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↑はブログに載せていたもの。
自分で書いておきながら読み返すとすげぇこっぱずかしいです、これ。
しかもタイトル思いつかなかったで…す!


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あきゅろす。
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