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Is it free to pray even if it doesn't come true?
見上げた根性

日付は変わり翌日。
私はいつも通り学校に向かっていた。

そう言えば水谷さんが言っていたテストって
結局いつだったっけ…今日だっけ…。

教室に着くまで不安が絶えないまま
1人、通学路を歩いていた。

「智尋サン、おはよう」

『あぁ、おはよう』

…ってえぇえええぇぇえ!?!?!?

私が驚きを隠せなかったのも無理はないだろう。
だっているなんて全く予想してなかった人物が、今目の前にいて私に挨拶してるんだから。

『…ヤマケンくん…』

さすがに虫の居所が悪いのだろうか。
ひたすら眉間に皺が寄っている。

そりゃそうだよね…タクシーで送ってもらった挙句、お金も払わないどころかお礼も言わずタクシーを飛び出したんだから。

『あの、昨日は本当に』

「礼やら詫びなら要らない」

『えっ』

どういう事だろう。
言い方は変かもしれないが、それをねだりに来たのでは無いのか。
だとしたらなんの用事なのだろう。

頭の上にクエスチョンマークを咲かせながら
初めて会った時から理解できない目の前の人を見つめた。

「智尋サンが人見知りだって言うのは、昨日水谷サンから聞いた。…悪かった」

『わ、悪かった?え??ごめん、理解できないんだけど何で私謝られてるの?』

むしろ謝るのはこっちの方だ。
お世辞にも安いとは言えない金額で、わざわざ駅まで送ってもらってお礼も言っていない。
なのに何故私が謝られているのだろう。

…この人については謎が深まるばかりだ。

「…だから、いくら初対面で智尋サンが人見知りだったって知らなかったとは言え無理にタクシーに乗せたんだ。…これは俺が悪いだろ」

『えっ…あ、いやでも送ってもらったのにお礼も言わなかったのは私だし』

「勘違いするなよ?俺は、人見知りだったって知らなかったとは言えタクシーに乗せたことは謝る。けどな…」

あ、あれ…?
何か更に目つきが怖くなってきてる。
これが本題じゃなかったの…?

地響きなんて鳴ってないのに、ヤマケンくんの背後から地響きと黒いオーラを感じる。
そんな不思議な力あるはずないけど。

「駅に着いた途端、タクシー飛び出すのは有り得ねえ」

…あ、やっぱりそれですね。

『や、だからね?それも謝ろうと思ったんだけど、そもそもヤマケンくんが』

「俺?俺がなんかした?」

自覚無いの!?
付き合ってもいないのに彼女みたいな扱いされて、こっちは死ぬほど恥ずかしかったのに。
彼にとって私なんて結局その程度の存在か。

…ん?
なんで少し落ち込んだ感じになってるんだろう。
いや、今はそんなことどうでもいい。

『そもそも!ヤマケンくんが…その、タクシーの運転手さんに変な話するからでしょう!?』

「変な話?変な話なんてしてねーけど」

あ、やっぱりあんな事どうでも良かった事なんだ。

ふいに心がちくりと傷んだ。
正体不明のそれに思考を奪われかけたが、本題から話がずれてしまってはいけない。
そう思い込もうとした。

『したよ!!…私がヤマケンくんの、か、かの…じょ…とか』

「え、なに?それだけ?」

『それだけってことはないでしょう!?私とあなたは昨日初めて会ったのよ!!?』

「何それ、いつ会ったとか関係あんの。付き合うとか好きになるとかって、そんな理屈的な物で決められんの?そもそも《好き》なんて感情曖昧なものなんだし、どこでそれを認識するかなんて人それぞれなんじゃねーの?」

え、えぇ……。
決して自慢ではない。
自慢ではないけど私は頭の良い方では無い。
テストの結果だって、後ろから数えた方が早いんじゃないかってくらいだ。
そんな私にヤマケンくんの言っている事は到底理解できるはずもない。

「…なに、もしかして智尋サンてバカな子?」

…もう分かった。
この人は傍若無人で人の気持ちなんて考えてないって事。

「俺の言ってる事が理解できない?」

『ええ!!!理解できないわよ!!すいませんねぇ!バカな子で!!!!!!』

タクシーでの一件とかその他諸々
この人に対して詰まっていた鬱憤が少し晴れるくらいには、大きな声を出して威嚇した。
うん、自信ある。

「要するに、好きになるのに月日とか関係ないって言ってんの」

『うん…で?』

「で?ってお前なぁ…」

要するに、なんて言われたって理解できない。
好きになるのに月日は関係ないって
つまり一目惚れはあるって言うのを私に言いたいの?
てゆーか、それを私に言ってどうするの?

「俺は予言者でも何でもねーけど、当ててやるよ」

『は?』

「会ったのは昨日が初めて、そんな相手の俺に智尋サンは惚れる」

『…は?』

いやいやいやいやいや
ますます言ってる意味が分からないんですけど!!

「智尋サンは俺のことを好きになる」



私は生まれて初めて、誰かを病院に連れて行こうと思った。

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あきゅろす。
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