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恋文〜君に贈る言葉〜
信じたい

SIDE 龍司

花村幸というユウと同じ学校の1年が俺に話しかけてきた。内容は告白。まあ、特別珍しいことでもなくスルーしていたら、奴はとんでもないことを言い出した。

『あの・・・僕、見たんです。立花くんが神谷先輩に言い寄っているのを。』

簡単に言えば、ユウが浮気をしていると言うのだ。
神谷って言えば、「KIRA」の総長じゃねえか。あいつはいい奴だから俺とも結構一緒に遊んでいる。そいつとユウが何故?
でたらめだと思い、花村を追い返し俺はひとり考えていた。もし、浮気していたら…いや、ユウが浮気するわけねえ。でも・・・胸にひっかかることもあり俺は、翌日学校を休んだ。今きっとユウに会ったら問い詰めるだろう。それだけは嫌だ。俺は放課後ユウを迎えに行こうと考え、その夜は寝た。


翌日

放課後ぐらいの時間になって、柏原の校門で待ってると

「あれ?氷室さん?」

とユウのダチの中山がいた。

「ユウは?」

と尋ねると、

「確か今日部活があるとか言ってた。中で待ってれば?」

と中山は部活があるからとその場を去った。俺はお言葉に甘えて、校舎の中で待つことにした。

「調理室…ここか。」

料理部なんだからきっと調理室にユウがいると思い、そこに向かおうとしていると

「あ、ありがとうございます!!」

とユウの可愛らしい声が聞こえた。俺はユウに早く会いたいと思い、いつのまにか早足になって調理室に近づいていた。

が、

「あの・・・?先輩?」

俺は階段のほうに隠れて様子を伺った。他校生の俺が見つかったら色々と面倒だし、ユウにも迷惑が掛る。しかし、ユウは誰かといるらしい。覗き見るとそこには神谷とユウが向き合って立っていた。

「立花…お前…。」
「はい?」
「・・・変な奴だな。」

はぁ?

「変な奴ってなんですか!?」

とユウは怒っているみたいだ。しかし怒っている姿も可愛い。///

「あれ?先輩?」
「立花…」

と俺は目の前でユウと神谷が抱き締め合っているのを見てしまった。

『あの・・・僕、見たんです。立花くんが神谷先輩に言い寄っているのを。』


嘘だろ…ユウ…

俺は力が抜けた状態で頭が真っ白になった。それからどうやって帰ったかは覚えていない。
ただ、しばらくすると花村が俺を訪ねてきた。やっぱり告白の返事を考え直してくれないかということだった。俺はユウと神谷が抱き締め合っている情景を思い出し、不機嫌になりさっさと帰るように催促するが、花村もユウと神谷が抱き締め合っていた現場を見たと言ってきた。そしてさらにこう言ってきた。

「言ったとおりでしょう?立花くん、二股していたんですよ。」
「・・・。」
「実際見たんでしょう?立花くんと神谷先輩が抱き合っていたところ。氷室さんは立花くんに遊ばれているんですよ。本命は神谷先輩だったんですよ。」

普段ならそんなでたらめなことを言うなってこいつを殴っているかもしれねえが、実際に現場を見た俺は言い返す気力もなかった。

「立花くんってああ見えて、結構小悪魔なんですよ。かっこいい人見かけては声かけてるらしいですし。僕、同じ学校だから知ってるんです。立花くんは氷室さんのこと好きじゃないんですよ。」

本当なのか、ユウ?俺はお前を信じたい。お前を信じてもいいのか?

その時、ドンドンッ!!とドアを叩く音が聞こえ、

「誰だ?」

と問いかけると、

「僕です!!」
「ユウ…か?」

俺は部屋のドアを開けるとそこには俺の愛しい恋人のユウがいた。

それにしても何で俺の家、知ってるんだ?
さては宗吾か…

「ユウ、お前「龍司さん!僕…。」

ユウは俺に話しかけようとするが、俺の後ろにいる人物を見て目を見開いていた。

「氷室さん。」

花村がそう俺の名を呼ぶと、

「君は…幸?」

そうユウは花村に尋ねた。こいつら、知りあいなのか?

「ど、どうして幸がここに?」
「どうしてって、君の浮気を氷室さんに伝えにきたんだよ。」

ユウ、お前本当に…

「ぼ、僕浮気なんてしてな「本当にそう言えるの?ユウ。」
「え?」
「実際に氷室さんだってユウと神谷先輩が抱き合っているの見てたんだよ。そうですよね?氷室さん。」
「・・・あぁ。」

まあ嘘ではないから、俺は頷いた。その途端、ユウは慌てだして

「違うんです、龍司さん!!あれは、僕が転びそうになったのを先輩が助けてくれて…」
「転びそうになったのを助けてもらったって言っても説得力ないよ。」

と花村がユウの言い訳をピシャリと止める。

「ユウ…お前…。」

なんで、そんなに慌ててるんだよ。まるで俺に隠していたことがバレた様な感じで。

「龍司さん、違うんです!!本当に神谷先輩に助けてもらったんです。」
「・・・だったら、なんで抱き合ってたんだ。」

俺はイライラし始めていた。ユウは本当に浮気をしていたのかと絶望する自分と、そんなの信じないという拒絶する自分が葛藤しているからだ。

「だから、それは!!」
「助けてもらったからって抱き合う必要ねえだろ!!」
俺はついにユウに怒鳴ってしまった。
「抱き合ってたんじゃないです!!信じて、龍司さん!!」
それでもユウはめげずに俺に訴える。だけどこのままじゃ、俺はユウにあたっちまう。
そう思った俺は、

「・・・ユウ、今日は帰れ。」
「え?」
「いいから帰れ。お前もだ。」

と花村のほうも見てそう言った。しばらくひとりになりたかった。

「分かりました。話、考えて下さいね。」

そう言って花村は出ていった。

「龍司さん…」

ユウは悲しそうな顔で俺を見た。

「帰ってくれ、ユウ…。」

俺はユウを見てそう言った。するとユウは半泣きの状態で笑って

「では、また明日。」

と言って、俺の部屋から出て行った。

ユウ…俺はお前を信じたい。だけど…神谷の顔とお前の態度を見て、俺はお前を信じなくなってしまう。

どうか…俺を信じさせてくれ、ユウ。





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あきゅろす。
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