恋文〜君に贈る言葉〜 始まりはまだ来ない 「おらぁぁ!!てめぇ、ぶっ殺されてぇのかぁ?」 「んだと?」 「やっちまうぞ!!てめぇら!!」 「「「おぉぉ――――っ!!」」」 バタン!!パリーン!!ドカッ!!バキッ!! 「ひぃぃっ!!また隣町の柳高の奴らだぜ!!」 「おっかねえ〜」 「目合わすなよ!!こっちが殺されんだからな!!」 下校途中、通学路の喧嘩に地元の高校生はビビっていた。 『柳高』―通称私立柳高校は最恐最悪の不良男子校 対して柳高の近くにある『私立柏原高校』は同じ男子学校でありながら成績もそこそこ良い進学校。 そんな柏原高校の生徒たちと柳高の生徒たちの一部は通学路が一緒であるため、柏原高校は何回かリンチやカツアゲ被害が出ている。 その被害から逃れるためには・・・ 『柳高の奴らと目を合わすな』 これが柏原高校の暗黙の了解になっているのだ。 「ユウ、早く行こうぜ!!」 「う、うん!!」 僕たち柏原高校の生徒はビビった様子で何事もないかのように、そそくさとその場を後にする。 僕―立花優斗もそのひとりであって・・・ 容姿勉学共に平凡な僕は、かなりのビビりで例えばさっきの喧嘩をしていたカラフルな頭をしたお兄さんに絡まれれば、もちろん失神してしまうだろう。 僕の隣にいる美形な男―中山和臣はその場を足早に去った。 後ろから 「やっと見つけた・・・」 という声が聞こえるはずもなく・・・ [戻る] |