恋文〜君に贈る言葉〜
変な俺
SIDE 神谷
不思議に体が動いた。俺は一体何をしているんだ。
俺はさっき下駄箱で見つけたラブレターに調理室に来て下さいとだけ書かれていた。まあ呼び出したのに来なかったら、そいつが可哀想だから俺は調理室に向かった。
入るとそこにはなにかしているちっこい奴がいた。まさしく、あいつだ。
「立花、なにしてるんだ?」
話しかけるとそいつは振り返って、目を見開いてビックリしていた。
「神谷先輩!?先輩こそどうしたんですか?」
「いや、なんか呼び出されて…」
と立花は俺の手にあるラブレターを見た後、
「い、意外です。」
「はぁ?」
「いや、先輩がちゃんとそういうのに答えているとは思わなくて・・・」
・・・なんか失礼じゃねえか?そう思っていると、本人もそう思ったのか顔を真っ青にしていた。俺は立花に近づくとあいつはビクッとして、目をぎゅっと閉じていた。多分殴られると思ってんだろうな。そう思いながら、俺は立花の頭を撫でた。見た目通りサラサラしていて気持ちいい。
「ふっ、お前何気に失礼だな。」
とあまりにも可笑しくてにこりと微笑みながら言った。そういや、笑ったのなんていつ振りだろうな。と俺は思っていると、
「それでは僕はここで。さようなら。」
「あぁ…気をつけて帰れよ。」
「はい!」
と立花は鞄を持って俺の隣を通り過ぎ、急いで教室から出ようとした時、
「わぁ!!」
立花はドアで躓いてしまって、転びそうになった。危ねえ!そう思った俺は立花の腹に腕を回して少し浮かせつつ抱きかかえた。
「…大丈夫か?」
「先輩!?」
立花は俺のほうに目を向けると、
「あ、ありがとうございます!!」
と笑顔でお礼を言った。
ドキン
「あの・・・?先輩?」
どうしたんだよ、俺…。早く離してやれよ。そう思っていたのだが、反対にこのまま触れていたいと思ってしまっている自分がいることに戸惑った。立花は俺がびくともしないことを不思議に思ったのか、俺をじーっと見ていた。
俺は立花を正面に向かせ、
「立花…お前…。」
「はい?」
「・・・変な奴だな。」
何を言うかと思えば、口からはこんな言葉しかでない。
「変な奴ってなんですか!?」
と立花はほっぺを膨らませて俺を睨んでいた。…無意識なのか?なんか…立花が可愛く見えてきた。目の錯覚か?
「あれ?先輩?」
と立花が俺に触れたとき、俺は頭の中で何かが切れた感じがした。
「立花…」
と俺はいつの間にか無意識に立花を抱きしめていた。
「先輩!?」
多分立花は混乱していると思うが、お前以上に俺が動揺している。
「っ!…悪い。」
やっと正気にかえって、俺はその場を去った。立花から早く離れたかった。
ドキンドキン
立花の体はちっこくてやわらかくて力を入れるとすぐに折れそうなくらい細かった。
ドキンドキン
俺…一体どうしたんだよ。
俺はその晩セフレの誘いを断り、ひとりで眠るが、何時間たっても眠ることができなかった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!