恋文〜君に贈る言葉〜 変な先輩 「では、みんな。美味しく作れたね。ここで解散。」 部活が終わって、僕はふいにバームクーヘンも龍司さんにあげようとラッピングをし始めた。龍司さん本当に大丈夫かな?そう思っていると、 「立花、なにしてるんだ?」 話しかけられて振り返ると、そこには… 「神谷先輩!?先輩こそどうしたんですか?」 「いや、なんか呼び出されて…」 と先輩の手にはラブレターがあった。 「い、意外です。」 「はぁ?」 「いや、先輩がちゃんとそういうのに答えているとは思わなくて・・・」 ふいに自分に言ってしまったことに僕は瞬時に真っ青になった。 や、やややややばい!!! そう思った途端、先輩は手をあげて僕に近づいてきた。僕は殴られると思い、目を勢いよくぎゅっと閉じる。だけどしばらくしてから頭にふわっと感触を感じた。 「ふっ、お前何気に失礼だな。」 と先輩がにこりと微笑みながら言った。先輩の笑顔を見て、少しかっこいいなあと思った。やっぱり先輩はかっこいいなぁ〜。でも龍司さんには負けるけどね/// 「それでは僕はここで。さようなら。」 「あぁ…気をつけて帰れよ。」 「はい!」 僕は急いで教室から出ようとした時、 「わぁ!!」 僕はドアで躓いてしまって、転びそうになった。僕は見ての通り、運動神経が破滅的に悪い。僕には受け身など出来ず、次に来る衝撃に備えてきゅっと力を入れる。 が、 「…大丈夫か?」 「先輩!?」 僕のお腹に腕を回して、軽く持ち上げてくれていたのはもちろん神谷先輩。 「あ、ありがとうございます!!」 僕はそうお礼を言う。 ・・・。 「あの・・・?先輩?」 先輩がなかなか腕を退けてくれなかったので、不思議に思って先輩を見ると先輩は僕を正面に向かせ、 「立花…お前…。」 「はい?」 「・・・変な奴だな。」 え!?なにそれ? 「変な奴ってなんですか!?」 と怒ってみると、先輩は目を見開いて一瞬固まった。 「あれ?先輩?」 と僕は先輩を揺すってみると、 「立花…」 と先輩は僕を抱きしめてきた。 「先輩!?」 僕は混乱しつつも先輩に呼びかけると、 「っ!…悪い。」 先輩は僕の声に応えるかのように僕を離してくれた。そして、その場から去って行った。 「どうしたんだろ…神谷先輩。」 僕は不思議に思いながらも、早く龍司さんに会いたくてそのまま学校を出た。 (きっと先輩も体調が悪かったんだよ) と思うことにして、ちょっと遅くなってもいいかな。と僕は、龍司さんのお姉さんが経営している『Dragon』に行くことにした。 まさか、さっきの場面を誰かが見ているとも思わずに… [*前へ][次へ#] [戻る] |