所詮二人は違わない
※何か色々と病んで狂い気味でイタいので注意
ブチブチと筋肉組織の切れる音がする。
いつものように唐突に背中に差し込まれたナイフは、深く深く突き刺さった。
だが、血は出ない。
「なぁフラン。痛い?」
「……痛く、ないですよー」
ナイフなど痛くない。刺しているのがベルセンパイなら、尚更。
慣れて、しまったから。
「そ。じゃ、こっちは?」
背中から金属の感覚が消えた、と思った瞬間。
キリキリと首を締め上げるワイヤー。
「か、は……っ!」
あまり鋭利なものではないらしく、薄く肌を破ったワイヤーは喉を締め上げる。
足りなくなっていく酸素に、翡翠は蒼白さを増した。
「フラン、苦しい?」
楽しそうに聞くベルセンパイ。
この人は悪魔だ。悪魔の名を持つ暗殺者。
快楽の為なら、幾らでも人を切り刻む。
――けれど、ならば自分も一思いに刻んで欲しいなんて、一瞬でも考えたのは馬鹿げてる。
急速に掠れていく意識の向こうで、ベルセンパイは笑っていた。
笑いながら泣きそうに、悪ぃフラン、悪ぃと繰り返していた。
“殺したい訳じゃない”
“でも、お前のそのカオも好き”
センパイは悪魔だ。不器用で、空回りしてばかりいる狂者。
でも、そんな人を好きなミーだって狂ってる。
*所詮二人は違わない
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