カエル注意報
※フランがキャラ崩壊してるので注意
帰ったら、相当珍しいものを目にした。
*
もの凄く元気のない、というか今にも死にそうな顔のスクアーロ。
口を覆ってそっぽを向き、肩を震わせるルッスーリア。
満面の笑みで気持ち悪さの増したレヴィ。
談話室にいた三人に、ベルは何ら遠慮せずドン引きした。
思いっきり体を引いた。
そこへ、腰の振りがいつもの二倍くらい滑らかなルッスーリアが飛び付く。
「あら〜ん、ベルちゃん!ちょっとアロちゃん、ベルちゃん帰ったわよ!!」
こっそり逃げようとした筈が、ルッスーリアに捕まったせいで動けない。
何なんだと舌打ちして部屋を見回したベルは、瞬時にすべて見なかったことにした。
だって嘘だろ。
あれ絶対なんかの冗談だろ。
あのカエルが、声をあげて笑いながら足をばたつかせているなんて!!
しかしその他の感情より興味が勝ったので近づいてみれば、気配に気づいたのか振り返ったフランの顔が赤い。
「オマエ……酔ってんの?」
「ミーは酔ってましぇんよー?…ひっく」
「嘘つけ。オマエめちゃくちゃ酔ってるだろ」
明らかに呂律が回っていない上に、普段と違いすぎる言動、プラスしゃっくり。……コイツに酒飲ませたのドイツだよ……。
取りあえず話ぐらいは聞けそうなスクアーロに目を向ければ、
「……ボスだぁ……クソボスが投げた酒瓶がフランに当たっちまったんだよ……」
と返ってきた。
ボスの酒食らったのかよ。
そりゃあ泥酔する訳だ。
「そうしたらフランがいきなりぶっ倒れやがって、また起きたと思ったら幻術を暴走させやがったんだぁ」
スクアーロにはとんでもない悪夢(口にしたくないらしい)。
ルッスーリアにはコレクション関係(にやけてるから)。
レヴィ……は聞くまでもなくボスに誉められる幻だろう。
「アイツをどうにかしてくれぇ……オレはもう無理だ」
バタン、と倒れたスクアーロに、ベルは本気で冗談じゃねぇ、と叫んだ。
……本当に冗談なら良かったのだが。
*
「ったく、なんでオレが……おいフラン、」
「しねー、だおーじ」
声かけただけじゃん。
いきなり死ねとかないだろ馬鹿カエル。
思わずナイフを投げつければ、フランは平然とそれを掴んで手に取り、回し始めた。
「せんぱーい、へたくそー」
けたけたと笑いながらナイフを弄ぶフランに、ベルは一瞬限りなく殺意を覚えた。
まじ殺して良い?
暫くナイフで遊んでいたフランだが、飽きたのか今度はそれを投げ捨てて寄ってきた。
「べるせんぱい、べるせんぱい」
今度はなんだ、とグッタリして視線を向ければ。
へにゃ、と笑ったフランが一言。
「すきですー」
……。
………。
…………、不意打ちすぎだろ。
真っ正面からの天然記念物並みの笑顔と言葉に、ベルは思いっきり赤面した。
うわ、らしくねー。
王子が赤くなるとかありえねー……
顔を隠すためにそっぽを向いたのに、なお引っ付いてくるフラン。
せんぱいせんぱいと子どものようにくっついてくるフランにナイフを刺すのはちょっと気が引けた。
「べるせんぱーい?」
こてんと首を傾げて顔を覗き込んでくるフランに、ベルは哀愁のこもったため息をついた。
これは下手な拷問より質が悪い。
悶々としたまま、結局ベルはフランと一晩明かす羽目になった。
*カエル注意報
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