muddy
「ん……マー、モン……」
小さな声、通常なら聞き取れないような音量。
けれどフランは常人ではなく、ボンゴレ特殊暗殺部隊の守護者であった。
聞こえない訳がなかった。
――マーモン、と呼ぶ声が。
*
マーモン。
それはミーの前任の霧の守護者。
ベルセンパイが、ミーにそっくりだと言ったアルコバレーノ。
ミーは、その人と間違えられたのか。
ミーが、その人に似ているから?
でもセンパイが好きなのはミーじゃない。ミーだってセンパイなんか好きじゃない。
だから、他人に間違えられたせいで傷ついたりなんかしない。
傷ついたりなんか、……。
『……マー、モン……』
――本当はそんなこと最初から知っていた。ミーは前任の代わりでしか無いってこと。
だって、一番最初に被せられたこのカエルは、アルコバレーノが連れていたというペットを元に作られた。
ミーが偶々霧属性で目の下のメイクが似ていたから前任の代わりにしたなんて、少し考えれば誰にだって分かる。
好きじゃない相手に別人と間違えられたって、悲しくなる訳がない。普通そうだろう。
なのに、何で、こんなに。
苦しくなるんですかねー……
*muddy
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