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嫉妬を抱くは人間である証



センパイはいつもミーをカエルと呼ぶ。
一度、人の名前を覚えられないんですかと言ったらナイフが飛んできた。
以来、その話題は口にしない。無駄に隊服を破きたくないからだ。(余計な金が掛かると言ったら、マーモンかよと笑われた)(ちくりと胸に刺が刺さった。前任は名前で呼ぶんですねー…)

そう、何だかんだ言って、センパイは他の幹部の名前は呼ぶのだ。作戦隊長とか、オカマとか、雷親父とかも。流石にボスは呼ばないですけど。

でも、センパイはミーだけを名前で呼ばない。ミーだけ名前で呼ばれたことがない。

初めて会った時から呼称はお前、とかガキ。カエルを被せられて以降はずっとカエル。

ミーは誘拐という最早犯罪な方法でヴァリアーに連れてこられ、センパイと組むことになったという経緯がある。だから、10年の時間の差がやはり人間関係にも影響して名を呼ばれないのだと思っていた。

けれど、“カエル”と、その呼称を聞く度に、ミーの胸はちりりと痛むのだ。
(ミーはカエルじゃありません。フランですフランという名前の人間なんです)

そう訴えたい。胸が痛い。自分だけ名前で呼ばれていないのはとても嫌。

ああ……ミーは、きっと他の人に嫉妬してる。名前を呼ばれたことのある人間全員にだ。

ミーにも名前がある。カエルじゃない。死ななくても人間だ。嫉妬だなんてこんな七面倒くさい感情を抱いてしまったミーは人間だ。


*嫉妬を抱くは人間である証


(ルッスーリア、ベルは何でフランを名前で呼ばないんだぁ?)
(あらん、気づいてなかったの?つい好きな相手を苛めちゃう小学生の心理よ。ベルちゃんたら自分の気持ちが上手に表現できないみたい)

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蝶々の夢を魅るより-traumend-様に提出。最早ベルフラじゃなくてベル←フラで申し訳ありません。最後の最後でベルフラ演出の為にルッスーリアとスクアーロがおまけ登場。

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あきゅろす。
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