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短編
【6】

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そのころ鳥正では…


「も〜ぉ、松田のやついい加減にしろって!」

久しぶりに智代と会社の愚痴を言い合っていた。


少し前までは仕事の不満どころじゃなかったから、今はプライベートが充実してるということなんだろう。


「でも智代、あと3件で今月の目標達成なんでしょ?私なんてさー、ペアの豊田さんがやる気なくて・・・全然達成されそうにないんですけど・・・」

「あ〜、豊田さん今月捨ててるもんね・・・」

私たちの仕事は男性の営業社員と女性の営業事務社員のペアで同じ取引先を担当している。

外回りの営業中心の男性社員の事務などの補佐的な役割を女性社員がするのだ。

だからペアと相性が悪いとただでさえお局と取引先との間で増えたストレスがさらに倍増されることになる。

まぁ、会社に今さら癒しは求めていないけど・・・。

年下のイケメン社員に癒される、なんてドラマの中だけのこと。



こうして私たちは愚痴り合いお酒を注入することで、今日の疲れを癒していた。






そのとき、智代の携帯が鳴る。

「あ、ダーリン♪」

「!!」

(・・・酔ってる・・・)

智代がぐっさんのことをダーリンと呼んでるのなんて聞いたことがない。

(てか、キャラじゃないしね・・・)

そう思って、ふと、この夏行った海に向かう途中の車の中でのことが蘇った。

(そう言えば「あーん」とかしてたんだっけ・・・)

人は見かけによらないものなのかもしれない・・・。


そんなことを考えながら智代が嬉しそうに携帯で話している横顔をぼんやりと眺めていた。

彼と幸せそうにしている人を見ると、蓮に会いたくなる。

(・・・電話してみようかな・・・)

そう思って、バッグから携帯を取り出そうとしたとき、智代の電話が終わったようだった。

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