短編 【13】-side ユイ- 「一生、好きだよ。唯しか好きにならない。」 真っすぐに見つめる潤の目に、嘘はないと思ったのは、あたしの自惚れだろうか・・・。 それでも、今は信じたい。 傍にいたい。 そう、思ったから。 「あたしも・・・迎えに来てくれるのも、頭撫でてくれるのも、自転車の後ろに乗るのも、抱き締めてくれるのも、潤がいい。」 潤の目が、わずかにだけど見開かれたのがわかる。 きっと、驚いてるんだろう。 「キスも・・・潤とじゃなきゃ、ヤだ。」 「・・・それって・・・俺のこと、好き・・・ってこと・・・?」 「・・・たぶん・・・」 だって・・・前に夏美に言われた時は、潤とのキスを妄想なんてできなかった。 でも、実際してみたら嫌じゃなかった。 むしろ、ほんとに自然に、したんだと思う。 だから・・・ 「キスしても嫌じゃなかったから。だからたぶん、好きなんだと思う。」 「・・・たぶんって・・・じゃあ、試しにもう一回してみる?」 そう言いながら、ニヤッと笑った潤が、急に男の人に見える。 「ちょ・・・なんかキャラ違わない!?」 あたしの後頭部に回した手に、グイっと力が入って、目の前には超どアップの潤の顔。 「もう、いいから黙っとけ・・・」 言われたらもう、目を閉じるしかできなくて。 抱きしめられた腕は、今までで一番安心できて。 きっと、ここがずっと前からあたしの居場所だったんだ。 熱い潤の唇に、クラクラしながら、背中に腕を回して、潤に身を任せた。 END [*前へ][次へ#] [戻る] |