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短編
【17】

・・・なんなんだ。




俺ってそんなに簡単そうに見えんのか?


良くも悪くも、俺に年上の彼女がいるっていう噂は、社内で広まってるはずだし、それなのに他の女に手を出すような男だと思われてるんだろうか。


そう思ったら、そんな雰囲気を醸し出している自分にもムカついてくる。




ぼんやりとそんなことを考えながら飲んでいると、隣の女の右手が、胡坐をかいている俺の膝から内股に、スッと動き始めた。



突然動きだした感覚に、不覚にもびくっと体を揺らした俺に、女は気を良くしたのか少し乱れた俺の浴衣の裾から手を入れようとしている。


「なんか・・・気持ち悪いかも。部屋、連れてって?」


「!!」




さすがにヤバいと思い、俺は胡坐から正座に姿勢を正し、乱れていた浴衣の裾も、気持ち整えた。




そして隣に座っている先輩に向かって、声をかけた。





「先輩!」





「うわ!どうした?」



突然大声で声をかけた俺に、先輩は少しビビったように返事を返す。





「・・・彼女、何か酔ったみたいで。先輩、部屋まで連れてってあげてもらえます?」





そう言って立ち上がった俺を、今まですり寄ってきていた女も先輩も口を半開きにして見上げている。




「あ・・・あぁ、わかった。」



先輩のその返事を聞きながら、チラッと春香のほうを見ると、案の定2課の課長に日本酒を注がれながら苦笑いをしていた。


それを横目に、俺はその場を離れ、宴会場を後にした。





それなりにみんな盛り上がっているせいか、たぶん俺が出て行ったこともあまり気づかれてないだろう。



そのまま、宴会場から少し離れたトイレの個室に入り、浴衣の袂から携帯を取り出して、急いで開いた。

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