. 朝の光のような ――朝。 あれは……夢…? 夢、だと一瞬でも思えた、その瞬間が幸せだった。腰の痛みと、手首のあざと、体中の違和感が、それは夢ではないと私に教えた。 昨日、結局あの後自分がどうやって帰ったのか、覚えていない。 帰ってきた私はボロボロで、玄関に倒れ込んで、お風呂に入らなきゃと思って、痛くなるまで体を強く擦って、ベッドにくずおれて……あぁ、きっとそんな感じだった。 客観的な記憶。 私が一人暮らしで良かった。こんな姿、家族に見せられない。 時計を見る。まだ5時。 (学校…いきたくない…) だが、あの言葉が蘇る。 私は、逃げられないんだ。 心臓に、鋭いものが刺さった気がした―― 「―おい。苗字。お前昨日なんで来なかった?」 「…会長…」 私は朝一番で、生徒会室に来ていた。 昨日「今日中にこの間の会議録をまとめる」と自分で言っておきながら、やっていないことに気付いて、慌てて家を出た。 そして一人作業をしていたら、会長が来た。 驚いた。会長が朝来るなんて珍しい。いつもは、テニス部の朝練に行ってしまうから。 「…すみません…昨日は、体調が、悪くて……」 きっと私を怒りに来たのだ。きっとそう。 言い訳も、苦し紛れ。 「そうか。まぁ、お前はいつも頑張りすぎなんだよ」 「…え」 「少しは休め」 今日中にそれ仕上げるんだろ?それなら何の問題もないさ―― そう言って笑った会長の顔があまりに眩しすぎて、まっすぐ見れなかった。 同時に、会長がとても清らかで、美しいものに映った。 それに比べて私は、ひどく汚れている――― [*前へ][次へ#] [戻る] |