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眠る前に思ってた人と、起きてから一番最初に思った人
―女を部屋に連れて来たのも、お前が初めてだ―


「…え」

初めて…?跡部会長が…?

「ここは俺だけの空間だからな」

私はベッドで仰向けに倒された状態のまま、会長の背中を見つめていた。

「でもお前は、入れてもいいと思った」

なんでだろうな、と言った会長の声はとても柔らかかった。

「お前はもうここで寝とけ」

会長はベッドから立ち上がって、こちらを一度も振り向かずに、部屋を出て行った。

「あ…」

ようやく起き上がって、完全に閉まってしまったドアを呆然と見つめる。

「会長…」

私の小さな囁きはこの広い寝室の空気に吸い込まれて、消えた。


会長のさっきの言葉や行動が、頭の中でぐるぐるする。

「期待…しちゃうよ……」

心臓がぎゅうっと締め付けられる。両手を胸の前にもってきて、強く押した。

隣の部屋にいるはずの会長のことを思う。
あの扉を開ければ会える。だが、それは今の私には出来そうになかった。

仕方なくベッドに潜ったけど、そこは会長の匂いがして、会長に包まれているみたいで、胸がいっぱいになった―――









「…ん、」

朝。アラームの音に起こされた。

時計を見ると、用意して学校に行くには丁度いい時間。

ふと会長のことを思った。会長は起きれたのかな、と。

寝室を出てみたが、そこに会長の姿はなかった。

「…そっか、朝練か…」

残念に思うと同時に、少しほっとした。
どんな顔をすればいいか、分からなかったから。

私は昨日、あの後なかなか寝付けなくて、このまま夜が明けるのかなと思っていた。
でも実際はいつの間にか眠っていて、それも意外と深い眠りで、こんなに安心してぐっすり眠れたのは久しぶりなんじゃないかと思う程だった。

多分アラームがなかったら起きれなかった。

(会長が、掛けてくれたのかな…私が遅刻しないように)

会長のさりげない優しさに感謝しながら、ゆっくりと、学校に行く準備を始めた。

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あきゅろす。
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