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シルク
「これは…」

どっちを着るべきなんだろう。
脱衣所には、さっき会長が来ていたようなバスローブと、シルクのパジャマが置いてあった。

制服を着直そうかとも考えたが、せっかくあんなに素敵なお風呂でさっぱりしたのに勿体ない、と思い直した。

それに、これもせっかく会長が用意してくれたのだから、着ないと失礼だ。

「うーん…」

未だバスタオルを体に巻いたまま唸っている私。

(バスローブは、なんだか心許ないし、着慣れてないし…やっぱりパジャマかな!)

ようやく決まって、シルクのパジャマに腕を通す。

もしや女性用かと思ったがやはり男性用で、上を着ただけで太ももの半分は隠れ、袖が余ってしまった。

一応下も着てみたが、緩くて、すぐずり落ちてしまう。
それに引きずる。

(これもう上だけでいいかなぁ…)

半ば泣きそうになりながら、上だけ着ることにした。大丈夫、変じゃないはず。

「あ…お風呂ありがとうございました」

私はさっきまで着ていた制服を胸に抱き、こっそりと脱衣所を出た。

「おう…」

会長は本を読んでいるらしく、幸いこちらは見ずに返事だけをした。

(よし、このまま行って、毛布で脚を隠しちゃえばいい…!!)

私が座っていたソファの上には、そのままさっきの毛布が置いてあった。

とりあえず制服を鞄にしまい、ソファに向かう――

と、ばっちり会長と目があってしまった。

「は…!!」

驚きで声が出た。

「……」

「あ、いやあのこれは!ズボンはですね!大きくてですねっ!!…」

あたふたあたふた。
恥ずかしくて顔が真っ赤になる。ただでさえ湯上がりで熱いのに…

やはり、もう一度制服を着れば良かった……

会長は本をテーブルにそっと置く。

そして目頭を指で抑え俯いたかと思うと、立ち上がり、私の方へやってきた。

「かいちょ…ぅきゃあ!」

会長はいきなり私を姫抱きして、そのままどこかに向かった。

「なっ…え、ちょ、会長!?」

ドサッ

と、落とされた先はベッド。

「どうしたんですかっ!?」

会長は私に覆いかぶさるようにして、見つめてくる。

私は激しく混乱した。

「苗字」

「えっ?」

「誘ってんのか」

「…ぅえ!?」

「こんな格好しやがって…」

「いやいやいや!会長が置いといたんでしょーっ!!」

「まさかこんなにぶかぶかになるとは」

「普通なるよっ!いつも彼女にこういう格好させてるでしょっ」

思いっきり想像で言ってしまった。それぐらい私は混乱していた。

「はあ!?こんな格好させるか!」

「うそっ」

「つうか彼女なんかいねーし!それに…」

会長がゆっくりと離れる。私の横、ベッドの端に腰掛けた。

「女を部屋に連れて来たのも、お前が初めてだ」


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あきゅろす。
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