仁王連載
仁王君と1日目の夜A
お風呂から上がった私を見た雅治は、何も言わずに、ズンズンとこちらに向かってきた。
え、な、なに?
「かーわーいーいー」
「わぁっ」
雅治は私が肩に掛けていたタオルを掴むと、いきなり私の髪をわしゃわしゃ〜と拭いた。
「も、もぅ!なにがっ」
「んーなんかもう、全部じゃ」
お風呂上がりで赤い顔が、更に赤くなった気がした。
「もう!早くお風呂入らないと冷めちゃうよ!」
と、私は雅治にタンスから出したタオルとバスタオルを押し付けながら言う。
雅治は笑いながら、浴室へと消えていった。
……可愛い、かな。
もしかして、このパジャマのこと言ってくれたのかな。
この前買ったばかりの、淡いピンクのパジャマ。
見た目の可愛さと、この肌触りに一目惚れした。
えへ、可愛いって言ってもらえた。
何回言ってもらっても嬉しい言葉。
私は雅治が出てくるまで、テレビを見ながら、化粧水を付けたり、髪を乾かしたりすることにした。
…あ。眠いかも……
ドライヤーの温風が気持ち良くて、眠たくなってしまった。なんかもう乾かすのが面倒臭くなり、途中で止めた。
10分だけ、寝よう……
私はソファの背もたれにもたれ、眠りの世界へと落ちていった。
――ドサッ
……ん?
チュッ…チュッ……
…ンッ…アン………ん!?
ぱちっ
「お目覚めか?お姫さん?」
な、何この状態!
「もうちょっと寝とっても良かったんに」
「な、なんでベッド…!!きゃああ!なんで服着てないのぉ!」
私はソファでうたた寝していたはずなのに、今はベッドの上で、雅治に組み敷かれています。
しかも雅治さんはバスタオルを腰に巻いているだけで、何も着ていません。
「だってそれは、名前ちゃんが早く入れと急かすから、着替え持っていくの忘れたんぜよ?」
うわぁ私のばかっ!…じゃなくて!
そうこうしているうちも、雅治は口付けをどんどん私に落としていった。
拭ききれていない雅治の髪から雫が滴って、私の身体へと落ちる。
「雅治とふかふかなベッドで寝たかったんじゃろ?良かったな、夢が叶って」
もう…敵わないや…
「…で、んき…消して、ね」
ふかふかなベッドは、雅治の匂いでいっぱいだった――
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