仁王連載
仁王君と大掃除A
「はぁ〜い…」
「おはよう、名前。ほら、お土産持ってきたぜよ」
「う、うん!ありがとうっ…」
小さく開けたドアから見える仁王君。
まだ午前中なのになんかすごく楽しそう。私の家に来るのを楽しみにしてくれてたのかな…嬉しいな……そして、激しく申し訳ない!
もう一度部屋を見渡す。
もうやだぁ…こんな部屋見られたくない……
「ん?名前?」
「に、仁王君っ!」
「なんじゃ?」
「…ごめんね!今日ね…」
涙が込み上げてきてしまった。
急に泣き出した私を困惑した瞳で見る仁王くん。
ドアにしがみつきながら、必死に仁王君を見上げる。言わなきゃっ…
「今日ね…部屋がね……汚いんだ!」
言った!言っちゃったよっ…もうやだっ…
「ん?構わんぜよ、そんなこと」
だから入れてほしいナリ、と私の大好きな優しい顔で微笑む仁王君。
「…うん。分かったぁ」
その笑顔にめっぽう弱い私は、彼を部屋に入れてしまった。
「そんなに散らかってないぜ−−」
そこで仁王君の言葉が止まった。
まさか……
「名前。そのベッドの膨らみはなんじゃ?」
バレたーーー!!
「なっ…なんでもないよぉ?」
咄嗟に仁王君の前に立ち塞がるも、身長差からして視界を塞ぐことはできず。
仁王君はもこっと不自然に膨らんだベッドを凝視していた。
「な、なんでもないよ?」
ズンズンと進んでいく仁王君。
な、なんでそんなにベッドが気になるの?
ちょ、ちょちょちょ!
「何を隠しちょるぜよ」
「何も隠してないよぉっ!」
私はベッドの上に乗って、膨らみを後ろに庇う。
「どきんしゃい」
「きゃあっ」
激しい攻防虚しく、軽々と布団と一緒に剥がされてしまった。
もうダメだ!嫌われたっ…
「…ぷっ」
…………え?
ぷははははは!と仁王君は床に座り込んでしまった。
「ど、どうしたの?」
恐る恐る尋ねてみた。
「お前さん、面白すぎじゃ…くくくっ」
可愛いのぅ、と頭を撫でられた。
「な、なんで?」
「安心した」
「へ?」
「浮気されたかと思った」
「は…はぁーーー!!?」
私の反応を見てまた笑う仁王君。
「なんで…だって…わたしっ、絶対きらわれたと思ったのにぃ…」
ベッドの上を見られた恥ずかしさなのか、笑ってもらえて安心したのか、なんだか分からないものがごっちゃになって、私は泣き出してしまった。
「こんなことで嫌いになるわけないじゃろ」
「わたしだってっ…浮気なんてしないよぉ!まさはるだけが好きなのにぃ…うぇえんっ…」
そう言った私に仁王君がキスしてくるのは、あと2秒後。
−きょ、今日はそういうことだから、帰って!
−いやナリ。
−えぇ〜っ
−ほら、掃除終わるまで待っとってやるから。
−う、うん。(手伝ってはくれないんだ)
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