仁王連載
雅治と体重
玄関で倒された後、私達は急かされるように繋がった。
久しぶりのそれは、涙が出るくらい幸せで、気持ち良かった。
それからベッドに移動してもう一回。
一息ついて、一緒にお風呂に入って、ベッドにダイブ。今に至る。
そして…
「ふ、太ったんだよー!」
「全然太ってないぜよ」
「太ったぁ」
「太ってなぁい」
さっきからこれの繰り返し。
今私はベッドに横になって、雅治に後ろから抱きしめられている状態。
抱きしめられるのは幸せなのだが、雅治が執拗に私のお腹を触ってくるから、私はお正月で2kg太ったことを思い出し、慌てていた。
無言でお腹の肉をまさぐられると責められているようで、何となくいたたまれなくなって、雅治に太ったことを告白した。
でも雅治はそんなこと関係ないとばかりに触り続けている。
「恥ずかしいから…あんまり触らないで…」
太ってしまった後悔の念が押し寄せて、声が小さくなってしまった。
すると後ろで雅治の顔がもっと近付いた気がして、少し身構えた。
「何言っとるんじゃ。さっきまでもっと恥ずかしい事しとったのに」
雅治が耳元でささやく。
息が当たってくすぐったい。
私を抱きしめる腕の力も強くなって、更に身体が密着した。
「〜っ!もお〜!!」
―ばふっ
私は近くにあった枕を掴んで雅治の顔の辺りを叩いた。
完全なる照れ隠し。
今私の顔は真っ赤だと思う。
雅治は後ろで笑っている。
私は枕に顔を埋めて唸っている。
「名前の抱き心地は最高なり」
よしよし、って頭を撫でられた。
太ったとか、もう、どうでもいいや。
本当、雅治には、全然敵わない。
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