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仁王連載
雅治と車
きつい抱擁の後、雅治は私の荷物を持ってくれて、私の手を引いて歩き出した。

少しくらい持つよ、という私の言葉に雅治は振り向いたけど、その時の有無を言わせない笑顔があまりにかっこよくて、私は言葉を飲み込んでしまった。

それから、雅治の車まで、私達はお喋りをしながら歩いた。
と言っても、喋っていたのは大体私。雅治は私の話すお正月にあった出来事を、家族の話を、うんうんって優しく聞いてくれた。



雅治の車が見えた。この車に乗るのも久しぶりだ。

「元気だったかディカプリオっ」

ディカプリオというのは、私が勝手に付けたこの車の名。

「ディカプリオも名前に助手席に乗ってもらわないと力出なかったらしいぜよ」

こうやって、いつもディカプリオと3人でお話する。
私の好きな時間。

私が付けた名前を雅治も呼んでくれてるのが嬉しい。雅治に大切にされてるんだね、羨ましいぞ。

ディカプリオの助手席に乗り込んで、エアバックの辺りをいい子いい子する。

「ディカプリオばっかり狡いぜよ」

雅治がちょっと拗ねた声なのが可笑しくて、私は笑いながら横を向いた。
そうしたら、雅治に肩を抱き寄せられ、キスされた。

後頭部にも手が回る。

キスはどんどん熱を帯びて、ドキドキして、苦しくなる。

未だに息の仕方が分からない私は、すぐに苦しくなってしまう。というかキスしてる時に息をするなんて、一生できない気がする。

「…さすがに、駅で名前のこんな顔、誰にも見せたくないきにのう」

やっと離れた唇。
甘い余韻が残る。くらくらする。
息は苦しいけど、でも、離れたら寂しい。また触れたくなる。触れてほしいと思ってしまう。

「ほら、またそんな顔……続きは、後でじゃ」

今度は軽くちゅっという音を立てた唇。

ギアを入れられたディカプリオは、走り出した。

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あきゅろす。
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