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仁王連載
雅治と電話
ぐーたら。ぐーたら。


実家って、やっぱりさいこーっ。

ご飯は勝手に出てくるし、電気代気にしなくていいし。


「名前ちゃん、お餅食べるー?」

「食べるー!」

あぁ…しあわせ。





でも、いつでも、何をしていても、思い浮かぶのは雅治のことばかりで。

会いたいなぁ、って思っちゃう。

昨日の夜、雅治のこと考えていたら胸が苦しくなっちゃって、なかなか眠れなかった。

そしたら電話が掛かってきて、泣きそうになった。というか、少し泣いてしまった。


――

「…っ、まさは、る?」

『…すまんなぁ、起こしてしまったかのぅ?』

「…ふ、」

『名前?』

「…ううんっ……おきてた、からぁ…」

『…』

「うーっ…まさはるっ…すきぃ…電話ありが、とぅ…」

『……』

「…まさはる?」

『…………はぁ。まったく、おまんさんは』

「ん?」



―――

うん。思い返したら、結構泣いてた。

「はい、名前ちゃん。お餅焼けたわよ」

「わーい!ありがとうお母さんっ」

お餅好き。

雅治も、ちゃんとお餅食べてるかな。

お雑煮も食べてるかな。


今日も、電話してくれるかな。

「なんか名前ちゃん、可愛くなったわね」

あ、お餅のびるー…って、え?

「まぁ、ちっちゃい頃から可愛いかったけど」

「んー…ん?」

「彼氏君でも出来たかしら」

「ふ、ぐっ!……ぅ、お茶っ」

「今度母さんにも紹介してね」


あ、侮れないなこの人!

おっとりしてる癖に、変なとこで勘がいい。

見ていないようで見ている。

そんなところも好きだけど……うーん。まだ紹介してあげないもん。

まだ私だけの、雅治だもん。



−お父さんにも知らせなきゃね〜

−いやいや、それはやめて!!!

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あきゅろす。
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