仁王連載
仁王君と初詣
朝。
というか目覚めたら昼でした。
今日は雅治の方が早く起きていたらしい。目が覚めた時、雅治のとろけるような瞳に見つめられながら「おはよう」と言われた。
ふわふわとした意識の中、少しまったりした。
そして大分ゆっくりと、私達は初詣に行く準備を始めた。
**
「わぁーすごい人だね」
少し遠出をして、初詣で有名な神社にやってきた。
私は春にこっちに引っ越してきて始めての初詣だから、雅治に案内してもらった。
「はぐれなさんなよ」
ほら、と雅治は手を差し出してくれた。
「うん!」
嬉しくて、雅治の手をぎゅっと握って、神社の境内に入る。
「でもはぐれても雅治ならすぐ見つけられる」
「…愛の力でかと聞きたいんじゃが、そんなに髪の毛見つめられるとなぁ」
「へへ」
そんなたわいない会話や、目に留まったものについての会話をしながら、参拝者の列に並ぶ。
そしていよいよ参拝の順番となった。
(いつもありがとうございます!苗字名前です。今年は雅治が幸せになりますように!みんな健康で過ごせますように!ずっと笑顔で過ごせますように!雅治に、相応しい女になれますように…あ、あと単位落としませんように!美味しいものいっぱい食べれますように!よろしくお願いします!)
「よし!」
「長いお祈りじゃったのう」
「えへへ。いろいろお願いしちゃった」
雅治は?と聞くと、秘密じゃ、と言われた。
「でも俺はひとつだけじゃよ」
「へー!なんだろう、気になる〜」
雅治のお願いってなんだろう。あ、でも秘密って言ってたし、教えてくれないかな。
初詣…終わっちゃったな。
楽しい時間はあっという間。
「そろそろ帰って、準備しないと…」
今日の夜には実家に帰らないといけない。
「雅治も、帰らなきゃね」
なんだか急に寂しくなってきた。
この3日間、ほんとにほんとに、嘘ってくらい楽しかった。
「そんな顔しなさんな。帰る準備付き合ってやるし、駅までも送ってやるきに」
「…っ…うん!」
雅治によしよしされて、少し泣きそうになった。
そうだね、もう少し一緒にいられるね。
家族も大切だから、会いに行かなきゃね。
そしたらまた帰ってくるから、また一緒にいられるよね。
私達はまた手を繋いで、歩き出した。
――名前の願い事が叶いますように―――
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