その他
このまま夜が *櫂(恋ミュ)微裏
「ん…はぁ…」
…名前………
俺は必死に名前を求めた。名前の口から漏れる吐息が、俺の理性を狂わせていく。しがみつく名前の手が震えていて、苦しそうなのは分かっている。だけど、もっと俺で酔わせたくて、名前を征服したくて、止めてあげれそうになかった。
でも逆に俺の方が限界みたい。唇以外も吸い付いてみたくなって、手も服の上からでなく、直に名前の柔らかい身体をまさぐりたくなってきたから。
「はっ……んっ……」
名前の耳の付け根から首筋を唇で這う。
一際大きくなった声。
肌にキスをしてるだけなのに、目眩がしてきた。
ずっと、手に入らないと思ってきた女性……が、この腕の中にいて、俺を拒まずに受け入れてくれる……。どれだけ触れたかったかもしれないこの白い肌に、キスをしている。
幸せ過ぎて死にそうだ。
そしてこれからするだろう行為を考えるだけで、どうしようもない恍惚が襲ってくる。
たまらず名前をぎゅっと抱きしめた。
「…かい…くるしぃ……」
「はあぁぁぁ…」
「?」
どうしたっていうんだ、俺は。躊躇っているのか? 今まで数多くの女を抱いてきたが、こんなのは初めてだ。童貞か、俺は……。
「かい…顔真っ赤……」
「名前に言われたくない…」
あはは、と小さい声で名前が笑った。あんまり嬉しそうに笑うから、正直恥ずかしかったけど、まぁいいかと思ってしまう。
名前が俺の背中に腕を回して、服をぎゅっと掴んだ。
俺の胸に頬を擦りよせる。
なんて可愛いんだろう。
俺は名前を更に強く抱きしめた。
なぜだか涙が滲んできて、どうしようもなく、名前、と呼んだ。
「櫂、大好き」
そうしたら名前は、今の俺にとってどうしようもないくらい嬉しい言葉をくれた。
「俺の方が好きだよ―――」
このまま夜が、
永遠に続きますように。
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