立海連載
後ろの席 *仁王視点
ホント、いい席になったもんじゃ。
名前の後ろ。
毎日、名前のつやつやな髪の毛や、抱きしめたくなるような背中や、居眠りをしてコクコク揺れる頭なんかを、観察出来る。
この席になってからというもの、授業をサボることがなくなった。
いや、そもそもクラスが名前と同じになった時点で、サボるなんて概念はなくなっとったんじゃ。
だって勿体ないじゃろ?せっかくいろいろな名前を見れるチャンスなんに。
俺は毎日名前の背中を穴が空く程見つめて、振り向かんかのーと思う。
くるっ
おぉっ、なんか振り向いたんじゃけど…!
テレパシーか?
「はい」
…なんじゃ…プリントが回ってきただけか…
しかしいちいち振り向いて渡してくれるなんて、可愛い過ぎるじゃろ。
役得役得。
しかもあのほわーっとした笑顔付きじゃ。
満面の笑みも好きじゃが、あの気の抜けた顔も捨て難いの。
これをほぼ毎日見れる。
そう考えると、この前まで名前の後ろの席じゃった奴は許せんな。
…あ、前は女子じゃったか。
それなら、まぁ、良しじゃ。
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