立海連載
ランチミーティング *真田視点
GWに、レギュラー陣だけで合宿をすることになった。
最近、俺と幸村と柳と苗字、そして顧問とで合宿について話し合いをしていた。ようやくそれがまとまったので、今日のランチミーティングでレギュラー陣に召集を掛けた。
ランチミーティングというのは昼休みに会議室で行われるもので、それぞれ昼食を持ち込み、食べながらミーティングをする。
「ということで、合宿しまーす!」
幸村の声に、皆歓声を上げる。
うむ。休日の合宿を喜ぶとは、皆練習熱心で良いと思う。
「場所はまた柳のペンションを借りることになりました。じゃあ、詳しくは柳から」
「あぁ。ではまず、名前、資料を配ってくれ」
「はい」
苗字が一人ずつに資料を渡しに回る。
皆思い思い好きな所に座っているので、必然的にそうなる。
「はい、しおりっ」
「…あぁ、しおり…?」
苗字は俺にそう言って資料を渡した。
しかし、しおりとは……
「苗字、遠足ではないのだぞ」
「えー同じ意味だよぉ」
「そ、そうか」
同じ意味か…確かに言われてみれば。だがどうして苗字が言うと、こうも遠足チックになってしまうのだろう。
「行き渡ったな。では――」
柳が説明を始める。俺はそれに耳を傾けた。
「はいはーい!バナナはおやつに入りますかー!」
説明が終わった瞬間、赤也が勢いよく手をあげた。
「赤也!遊びに行くんじゃないんだぞ!!」
「じょ、冗談っすよ!…ちぇ……」
全く、たるんどる!
ミーティングは大体終わり、あとは食べるなり談笑するなり、各々の時間となる。
俺は幸村と柳のもとへ向かう。
その時、苗字が赤也の耳に手を当て、何か話しているのが目に入った。
次の瞬間、赤也が満面の笑顔になる。
苗字が何を言ったのか。別に気になるわけじゃない。
ただ、この胸の端っこが、ほんの少しだけ痛んだ気がしただけだ。
それに気付かないふりをして、俺は歩を進めた。
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