立海連載
笑い上戸 *仁王視点
名前はよう笑う。俺と話す時もよう笑ってくれる。名前が笑うとこっちまで可笑しくなってくるから不思議じゃ。もらい笑いって言うんかの。
「ねぇねぇ聞いて〜!」
「なんじゃ?」
名前は自分の話をしたい時、そう話し掛けることが多い。聞いて?なんて言わんでも、名前の話ならいくらでも聞いてあげるきに。それでもその聞いて?がどうしようもなく可愛いんじゃから仕方ない。俺は名前に話し掛けられるのが大好きじゃ。
「朝すごく面白いことがあったんだよ〜」
また自分で面白いなんて言って、ハードルを上げるんじゃね、名前は。
「ほう。どんなことじゃ?」
「それが…それがねっ……」
そして思い出し笑いで、喋れんのじゃ。
「なんじゃ早よ言わんかい」
「うん、それがね、昨日豆食べてたんだけどっ…一粒どっかいっちゃって…で、朝起きたら…パジャマの胸ポケットに入ってたのっ」
そこまで言うとまた一人でツボってしまった。
「…俯せで寝てたから…豆こなごなぁ」
なんじゃその話は。
話の脈絡はないし、何が笑い所かも分からん。
じゃが、なぜか、何かが、全てが可笑しくなってきて、いつの間にか名前につられて笑っとった。
「バカじゃのーっ」
「でしょー!」
ほんと、名前の笑顔を見とると力が抜ける。
その後名前は、その話をいろんな奴にしに行った。
なんであぁも同じ話で笑えるんかのぅ…
しかし俺以外にもあんな笑顔で喋べっちょるのは、気に食わんぜよ。
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