00≫≫1st SEASON
one-sided love 1
(ロク→←ティエ←アレ)
俺がティエリアを庇って負傷した瞬間から、ティエリアの俺に対する態度が劇的に変わった。
俺が負傷した事への罪悪感は、ヴェーダから切り離されたショックを凌駕し、ティエリアの依存の対象はヴェーダから俺へとシフトしたらしい。
悪い気はしない。
だけど、お前の気持ちには応えられない。
「ロックオン、貴方が好きです」
相当勇気を出したのだろう、些か青ざめてすら見える表情でティエリアは俺に告白した。
お前はあくまで可愛い年下の仲間なんだ、と。
子供にする動作で頭を撫でながら『ありがとな』と真剣なその色を茶化した。
「私は…っ!」
それ以上を言わせない為に、そっと頬に触れるだけのキスをした。
途端、血色の悪いそこが赤く染まる。
良かった…お前は生きてる。
流れる血の色は同じで、さっきからドクドクとうるさい心臓の音は、俺も生きているんだという証。
片目を失おうと、残った目はちゃんとティエリアを映す。
生きてティエリアに会える。
今はそれだけで良い………充分じゃないか。
「ごめんな」
その言葉を拒絶と受け取ったティエリアは、眼鏡の奥の瞳に僅かに悲しみを湛えながらも『良いんです』と、紫紺の真っ直ぐな髪を揺らした。
「貴方が生きているだけで、充分だ…」
俺が思った事と同じ事を言うティエリアに、思わず手を伸ばしそうになった。
「………」
その手を抑えるのに必死で、茶化す事も受け流す事も出来なかった。
「忘れて下さい」
黙り込んだ俺が返答に困っている様にでも見えたのか、ティエリアはそう告げて踵を返した。
去っていく後ろ姿を見送り、呟く。
「…忘れられるかよ」
俺だって、お前の事を―――…
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