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BASARA≫≫SHORTSHORT
宵闇の月 2



あれから毛利は自害を試みる事が無くなった。
死ねばどうなるかは解らないが、生きてここに居る限り国の無事は保証する、というオレの言葉を信じる事にしたらしい。


―――もっとも、選択肢なんてものは無かったのだろうが。


食事を取り、血色の良くなった顔は女としての美しさを湛え、それに見合う美しい着物を着せた時に戸惑いの表情を見せるのが楽しくて仕方ない。

脱がせるのもまた一興。

屈辱を堪える瞳が快楽に歪む様に、オレは悪趣味にも興奮を覚えた。


気が付けば、毎日の様に毛利を幽閉する部屋に足を運び、一日の殆どをそこで過ごしていた。




「元就サンPresentをやるよ」

「ぷれ…?」

「贈物だ」

毛利の髪が肩を過ぎる頃、以前から用意していた物を渡す。

「…簪…」

自分の手の上に置かれた銀の簪を、どこか戸惑う目で見る。

「綺麗だろう?アンタの髪に良く映える」

毛利の後ろに回って少し伸びた髪を軽く結い上げ、その簪を挿してやった。

シャラン、と簪は小気味良い音を立てる。

そのまま、髪を結い上げた事によって現れた白いうなじにそっと唇を押し付けた。

僅かに反応する細い肩。

後ろから抱き抱える様に着物の合わせに手を忍ばせ、直接触れた僅かな膨らみを少し乱暴に掴む。

「………っ…!」

息を詰める音を聞きながら、後ろから体を蹂躙する。

屈辱と殺意に満ちた目を見る事が出来ないのは、残念だが、腰を揺らすのに合わせてシャラシャラと音を立てる簪が面白い。




高い空しか見えない格子の大きな明かり取りがあるだけのその部屋。

現実から切り離されたその場所で、緩く緩く戦いを忘れていく毛利を見ながら、支配の快感に酔う。


気まぐれで美しい蝶を捕らえてから、もう二月が経とうとしている―――。

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