小悪魔☆奮闘記
3
「僕はあいつが…晴彦が、嫌いなんだ。だから、こんな体がおかしくなってるんだ」
思わず俯いてしまう。
会長はこっちに顔を向けると、しばらく無表情で僕をみたあと口元を上げ、いつもの偉そうな口調で言った。
「へぇ、お前副会長様が好きなのか」
は?
「え、…なに。さっき自分で言ったんでしょ?」
「いんや?俺は"あいつ"って言っただけだぜ?あいつが、副会長とは一言も言ってねぇ。そうか…ククク」
こいつ、いつか殺す。
クツクツと笑う会長に腹が立つので、もう相手にするのはやめようと作業に戻る。
だが、背を向けているにもかかわらず、会長は続けて話しかけてきた。
「お前副会長を名前で呼んでたけど、仲良いのか?そうは見えなかったけど」
「…………」
無視しよう。
「…おい、シカトしてんじゃねぇぞ、親衛隊の分際で」
「…………」
「…仙道に言ってもいいんだな?実はお前が好きだって」
「なッ、好きじゃないし!!」
「はあ?お前あんだけ好きですオーラ出しといて、好きじゃねぇなんて通ると思ってんのか」
好きですオーラ…?
そんなの、出てるわけ…
というか、僕はあいつの事なんて。
「否定しても無駄だぜ?お前意外と顔に出やすいし。あの時は俺しかお前を見てなかったからいいものを、いつかまわりにバレるぞ?」
「違う…、僕は…」
好きじゃない。
そう言おうと思っているのに、言葉が出なかった。あまりにも会長が真剣な顔をしているから。
彼の全てを見透かしているような目が、その先の言葉を言わせなかった。
認めるしか、なかった。
僕は、晴彦が
好きだ。
認めてしまうと、嫌でもわかる。
どれだけあいつを想っていたか。
「お前さっさと告れよ。そして振られろ」
「はぁ!?何言ってんのさ!気持ちなんて伝えられるワケないじゃん!つか、何振られろって!」
「振られたら、俺がもらう」
「な…、…冗談…」
「冗談なんかじゃないぜ?お前気に入ってるし。だからはやく俺のものになれよ」
………。
いやもう何なのこいつ。
僕は自分の気持ちを認めただけで精一杯、手一杯なんだってのに。
「ちょっと、僕いろいろ混乱してるんだから余計なこと言わないでよ」
会長の方を向いてそう言うと、会長の机には誰もいなくて。
いつの間にか横に。
「はやく、落ちてこい。ーーー実」
黒い影が、僕の顔に降りてきた。
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