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動物農場
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 以上が、動物農場が共産主義化した主な経緯である。
 それではナポレオンは何を武器にしてライバルを排除し独裁体制を敷くほどの力を得ることができたのだろうか。
 まず挙げられるのはやはり忠実な犬という武力の保持だろう。スノーボールとの議論において、弁舌により票を集めるのが得意ではなかったナポレオンは、会議の合間に「説得」と「操縦」時には「取引」を駆使して票を集めていた。しかし犬という物理的な力を手に入れたことによって、そのような面倒をかけずとも他者を簡単に支配できるようになったのである。しかしこれはあまり安定的なコントロール様式ではない。物理的に抵抗を抑えることはできても、「説得」や「操縦」のように他者に納得のいく答えを提供することはできないからである。当然、ナポレオンに対して異議を唱える者も出てくる。前述の通りあまり話術が巧みではないナポレオンは、そこで知能の低い羊たちにシュプヒレコールをさせ、問答無用と云わんばかりに会議を打ち切らせた。羊がもし少数ならばさほど問題はないが、如何せん数が多く異議を唱える者の声をかき消してしまうのだ。これはスノーボールの政策であったが、七戒を教える際に知能の低い者に向け七戒を簡略化してキーワードとして覚えさせたが、結果的にこれは羊たちに七戒の意味を考えさせることを止めさせ思考停止をもたらし、羊たちはただ数が多いだけの愚民となったのだ。ナポレオンはここに眼をつけ利用したのだろう。羊たちもまた犬と同じく「物理的な力の行使」に当たる。さらに話術の巧みな部下を一人置き、彼が他の動物たち(=民衆)をその話術で懐柔し、ナポレオンに都合の良いような情報操作を行った。強力な物理的な力の行使でほぼ民衆の抗議の機会を奪い、内にたまっていく疑念を話術の巧みな部下を使って解きほぐすのである。
 


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あきゅろす。
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